米主要株価指数も「節目」の攻防

 続いて、米国株市場の動きについても確認していきます。これまで見てきた通り、日経平均は52週移動平均線が「節目」として意識されますが、先週の米主要株価指数も、ダウ工業株30種平均が4万4,000ドル、S&P500種指数が6,000p、ナスダック総合指数が1万9,000pを挟んだ動きとなっており、株価水準が「節目」として意識されていることが分かります(下の図5から図7)。

図5 米NYダウ(日足)の動き(2024年11月15日時点)

出所:MARKETSPEEDIIより筆者作成

図6 米S&P500(日足)の動き(2024年11月15日時点)

出所:MARKETSPEEDIIより筆者作成

図7 米ナスダック(日足)とMACDの動き(2024年11月15日時点)

出所:MARKETSPEEDIIより筆者作成

今週の注目ポイントは?あの米国企業の決算がカギ

 以上のように、テクニカル分析的には日米株式市場の両方で、「節目」を意識しながら、株価が調整含みで推移しそうであることを見てきましたが、最後にイベントなどの材料面についてもチェックしていきたいと思います。

 今週は、日米ともに注目の経済指標の発表が少ないほか、いわゆる「トランプトレード」も一服しつつあります。そんな中で、相場の方向性に影響を与えそうなものとしてカギを握るのが、米企業決算の動向で、具体的には半導体大手のエヌビディア(NVDA)と、小売り大手のウォルマート(WMT)になります。

図8 米エヌビディア(NVDA)日足の動き(2024年11月15日時点)

出所:MARKETSPEEDIIより筆者作成

 エヌビディアは今週20日(水)に決算を発表する予定です。図8を見ても、過去において、決算をきっかけに株価が動意づいていることが確認でき、今回も同様の展開が見込まれます。

 さらに、エヌビディアは、NYダウの構成銘柄に採用されてから初めて迎える決算になります。実は最高値の149ドルをつけた11月8日が組み入れ開始日でした。足元の株価も140ドル台を維持しています。

 決算を発表する前に株価がすでに高値圏に位置しているため、決算を受けてさらに上値を伸ばしていくには、材料出尽くし感とならないような、期待以上の業績と強気の見通しを出してくる必要があります。

 また、テクニカル分析面では、株価とMACDの「逆行現象」が出現し、目先のトレンド転換の兆しがあるほか、足元の株価も25日移動平均線あたりに位置している点には注意しておいた方が良さそうです。

図9 米ウォルマート(WMT)日足の動き(2004年11月15日時点)

出所:MARKETSPEEDIIより筆者作成

 そして、エヌビディアと共に注目を集めそうなのがウォルマートです。19日(火)に決算を発表するウォルマートは米小売業でも「勝ち組」とされ、上の図9のチャートを見ても分かるように、同社株は上場基調が続いていることが分かります。

 また、過去3回の決算では、発表前に株価が調整し、決算後に上昇基調を描くリズムとなっていますが、ウォルマート株は先週13日(水)に最高値を更新しているだけに、決算後の反応が注目されます。逆行現象が出現している点もエヌビディアと共通しています。

 なお、今週はウォルマートだけでなく、同じ小売業のロウズ・カンパニーズ(LOW)ダラー・ツリー(DLTR)ターゲット(TGT)ロス・ストアーズ(ROST)も決算を発表します。

 ここではチャートを紹介しませんが、ロウズ・カンパニーズはウォルマートと同じように上昇基調を描いている一方、ダラー・ツリーとターゲットの株価推移は低迷するなど二極化しています。来週末29日(金)は「ブラック・フライデー」で、クリスマス商戦が本格化するタイミングでもあり、消費関連株に動きが出てくるかもしれません。

 ここ1カ月半の日経平均は、衆議院総選挙や米大統領選、FOMC(米連邦公開市場委員会)、そして日本銀行会合など、株価を大きく動かしそうなビッグイベントが相次ぎながらも、結局は3万8,000円から4万円のレンジ相場が続いていました。

 一方、今週は比較的注目材料が少なく、ポイントが明確な週でもあるため、却ってあっさりレンジを脱することも考えられ、意外に(?)重要な週になるかもしれません。