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著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【テクニカル分析】今週の株式市場 一進一退ムードの中、株価下落時の見極めがカギ~注目は「あの米国企業」の決算~<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し>」
日経平均は「レンジ相場」抜けを想定するタイミング?
先週末11月15日(金)の日経平均株価は3万8,642円で取引を終えました。
図1 日経平均(日足)の動き(2024年11月15日時点)
前週末終値(3万9,500円)からは858円安、週間ベースでは3週ぶりに下落に転じていますが、上の図1や、これまでのレポートでも述べてきたように、「3万8,000円から4万円のレンジ相場」という状況に変わりはありませんでした。
ただし、この日の取引終了後にオープンした、日経225先物取引のナイトセッションでは、大取(大阪取引所)で3万7,780円、シカゴCMEで3万7,775円といった具合に、レンジ相場の下限とされる3万8,000円台を下回るところまで下落する場面がありました(下の図2)。
図2 日経225先物(中心限月)日足の動き(2024年11月18日ナイトセッション終了時)
そのため、今週は約1カ月半にわたって続いたレンジ相場から「下抜け」した場合のシナリオを想定しておく必要が出てきたと言えます。
また、想定通りにレンジを下抜ける展開となった場合、果たして、株価の下落が「調整」にとどまるのか、それとも「下落トレンド」入りしてしまうのかが気になるところです。
そこで、今回は今週の株価が下落した際のテクニカル分析的な見極めポイントと、今週の株価材料などについて考えて行きたいと思います。
日経平均が下落した場合、52週移動平均線が焦点
まずはテクニカル分析的に見た日経平均のトレンドについてです。
図3 日経平均(週足)とエリオット波動(2024年11月15日時点)
上の図3は前回のレポートでも紹介しましたが、日経平均の週足チャートに「エリオット波動」を重ね合わせたものです。エリオット波動は、株価の動きを「波」として捉えることで、相場のトレンドやリズムを探るための参考材料として使われます。
あらためて、上の図3を見ると、現在は「B波」の途中に位置していますが、今後の日経平均が下落していくのであれば、トレンドがB波から「C波」へと移行していくことになります。もちろん、まだしばらくB波が続き、もう一度高値をトライする展開も考えられますが、その場合でも次の相場のリズムはC波へと向かっていきます。
そのため、どちらの展開になったとしても、いずれはチャート上にもあるように、いわゆる「トリプル・トップ(3番天井)」を形成していくことになります。
図4 日経平均(週足)の動き(2024年11月15日時点)
一般的に、トリプル・トップは3回高値をとりに行く過程で株価がいったん下落した押し目どうしを結んだ「ネックライン」を下回ることで完成します。
ここで問題になってくるのが、上の図4を見ても分かるように、8月9週の株価下落が大きかったことです。つまり、セオリー通りならば、(1)と(2)がネックラインの候補になるわけですが、足元の株価位置からかなり下落しないと完成しません。
となると、「トリプル・トップの完成を待って天井を確認する」というのは現実的ではなく、もっと早い段階でトレンドの転換を把握するために、ネックラインの代替となる「節目」が意識されることになります。
そのひとつが、冒頭でも述べた3万8,000円の株価水準であり、そして、これから重要になってくると思われるのが52週移動平均線になります。ちなみに、先週末15日(金)時点の52週移動平均線の値は3万7,675円です。
今週の日経平均が下落し、3万8,000円台を下回ったとしても、52週移動平均線より上をキープ、もしくは下回ってもすぐに回復することができれば、株価下落は「調整」ということになり、ある程度の株価反発も見込めることになります。
反対に、図4のピンク色の線のように、株価が52週移動平均線を下抜け、再び回復することができなければ、チャート上における52週移動平均線という「節目」の役割が、株価のサポート(支持)からレジスタンス(抵抗)へと変わります。そして、「トレンドの転換」となって、下方向への動きが強まってくることが考えられます。