来週の日米の金融政策決定会合で、1ドル=150円を目指すか

 6月の米CPI発表以降の一連の動きによって、1ドル=160円以上は重たくなり、来週30~31日の日米の金融政策の方向によって150円を目指すのかどうか注目したいと思います。31日の正午前後に日銀が決定し、FOMC(米連邦公開市場委員会)は31日の深夜、日本時間では8月1日午前3時に政策決定が発表されます。

 日銀の利上げについては、河野氏に加えて、自民党の茂木敏充幹事長が利上げ検討も含めて金融政策の正常化への方針を明確化する必要があると発言しました。こうした発言から海外勢の7月利上げ期待は高まっています。政府の介入への側面支援として、自民党幹事長の発言はかなり気になるところです。「介入」効果が続いている間に日銀が利上げをすれば、円安是正にはかなり効果があると思われますが、市場の7月利上げの見方は分かれています。

 そのため、利上げがなかった場合でも失望感からの円売りも限定的と思われます。また、利上げがなくても利上げへの道筋が示されると、円売りはかなり限定的になると思われます。示されなければ失望感からの円売りが想定されますが、ただ、その場合でも31日の深夜(日本時間)にはFOMCが控えているため、限定的な動きになることが想定されます。

 市場ではFRBの9月利下げはほぼ織り込まれていますが、パウエル議長が来週30、31日のFOMCで9月利下げを示唆するのかどうか注目です。複数回の利下げが示唆されれば、さらにドル安円高が進むことが予想されます。

 一方、来週のFOMCでは利下げを示唆しても、利下げ時期までは明示しない可能性もあります。そうなると、利下げ期待で売られてきたドルは買い戻される可能性があります。その場合は8月22~24日の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」まで、9月利下げを示唆しないかもしれません。

今週発表の米4-6月期GDPや6月PCE物価指数、年内利下げ3回期待浮上も

 日米金融会合の前の25日には、米2024年4-6月期GDP(国内総生産)速報値が発表されます。この内容次第では、FRBの年内3回の利下げ期待も浮上するかもしれません。

 GDPでは、特に個人消費に注目したいです。個人消費は、1-3月期は年率換算で前期比1.5%増と前期(3.3%増)から伸び率が大きく鈍化しています。4-6月期は拡大予想ですが、消費はどの程度回復するのか焦点です。

 そして26日には、FRBが重要視する米6月個人消費支出物価指数(PCE)コア指数(除く食品・エネルギー)が発表されます。前月(前年同月比2.6%上昇)よりは低下する予想となっています。GDPが強い数字で発表されてもPCEコア指数が予想通り低下していれば、FRBの利下げ期待は変わらないと見込まれます。

 先週からドル安円高の地合いが続いています。円は対ユーロや対ポンド、対豪ドルなどでも円高に動いており、円は全面高となっています。

 米大統領選が不透明要因として相場を覆い始めていることや、30~31日には日米の金融会合が控えていることから、円ショートポジションを安心して増やしていく、あるいは増やさなくても円キャリー取引を続けていくことは慎重になると予想されます。円安リスクを取りにくい地合いになってきているようです。