春闘の結果は第1回目の集計でほぼ判明する

 二点目は、内田副総裁が「重要なイベント」と強調する春闘の賃上げ率が、4%を超える強い結果になる可能性が高く、それが3月15日の第1回回答集計結果(連合)でほぼ判明するということです。

 過去の連合による集計結果を振り返ると(図表3)、第1回から最終集計結果(7月上旬)まで最大でも0.2%程度しか下振れておらず、第1回の集計結果を見ればその年の春闘の姿をおおむねつかむことができます。春闘の観点からは4月MPMまで待つ意味はほとんどありません。

<図表3 春闘の第1回回答結果と最終結果の差>

(出所)連合、楽天証券経済研究所作成

春闘の姿が判明した3月に動かなければ円安に振れる可能性

 三点目は為替です。春闘が強い結果になったにもかかわらず3月MPMで動かないとなると、「これでも日銀は弱いと見ているのか」と市場に受け取られ、再び円安が大きく進むリスクがあります。円安が過度に進めばインフレを助長し、所得を実質的に目減りさせ、消費をますます抑圧することになります。

「展望レポート」は政策判断に優先しない

 また、「展望レポート」が出るからという理由でマイナス金利解除は4月という声をしばしば耳にします。しかし、展望レポートが政策決定に優先することはありません。

 展望レポートは重要なコミュニケーション・ツールの一つであることに間違いありませんが、金融政策の判断は展望レポートが出る出ないにかかわらず、MPMごとにその時の指標や情勢に基づいて下されるのが原則です。

 政策判断の材料として春闘を位置付けているわけですから、他の条件が大きく変わらなければ、春闘の結果が明らかになった時点でそれを政策判断に反映させるのが筋といえます。4月まで判断を持ち越すことがあるとすれば、春闘要因を打ち消す何か、例えば景気の急変とか自然災害といった突発的な事象が生じた場合と考えられます。