日銀、ハト派・タカ派発言しながらマイナス金利解除に地ならし

 先週の外国為替相場のドル相場は、日本銀行の高田審議委員が29日に滋賀県金融経済懇談会で「2%物価目標の実現、ようやく見通せる状況になってきた」と述べたことから、1ドル=149円台後半に下落しました。

 その後の海外市場では、米新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数が市場予想より悪化したため、149円20銭台までドル安円高に行きました。しかし、米中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が重視する物価指数PCEコアデフレーターの前月比上昇率が1月より加速(0.2→0.4%)したことが意識されたのか、じりじりとドルは買い戻されました。

 また、日銀の植田和男総裁が29日(日本時間1日)に、ブラジルで開かれたG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、「2%の物価目標の持続的・安定的実現について、現時点で達成が見通せる状況ではない」との発言が伝わると、再び円売りが強まり1ドル=150円台のドル高円安となりました。

 しかし、その後は日経平均株価(225種)が4万円を超えても、ドルの上値が重たい状況が続いています。日銀首脳らの一連の発言をみると、先月の内田真一副総裁の発言(マイナス金利解除後も金融緩和継続)以来、タカ派、ハト派的な発言を繰り返し、市場が一方向に傾かないように地ならしをしているように感じます。

 市場では、日銀が3月13日の春闘の集中回答日を待って、18、19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除をするとの見方が強まってきていることから、円安の動きが抑制的になっているのかもしれません。

 今年は、米国の金融緩和、日本の金融引き締めの時期がいつなのか模索する状況が続けば、ドルの上値は重たいままかもしれません。