2024年の日経平均の予想レンジは?

 では、このレポートの本題となる2024年の日経平均はどのような動きになるのでしょうか?

 かなりざっくりとした予想になりますが、「トレンド」面と「株価水準」面の2つのアプローチで見ていきたいと思います。

図6 日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2023年12月27日時点)

出所:MARKETSPEED IIを元に筆者作成

 トレンド面については、「線形回帰トレンド」で捉えていきます。コロナ・ショック時の安値をつけた2020年3月19日週が起点です。

 2023年の日経平均はマイナス2σ(シグマ)近くからプラス1σ超えまで一気に上昇し、その後はプラス1σと中心線に挟まれた範囲内での推移が続きました。とりわけ中心線については、強気と弱気の境界として意識され、2022年が抵抗、2021年がサポートといった具合に、中心線を基準に株価が動く場面が多く見られます。

 また、相場が強気もしくは弱気であるほどプラスマイナス2σを目指すことになりますが、大きく株価が動くには新たな材料や局面の変化が必要でもあるため、コアレンジの基本として想定するのはプラスマイナス1σの範囲になります。

 もちろん、今後の株価が軟調を続ければ線の傾きの角度が緩やかになり、上昇基調を強めれば角度が立っていくなど、線の傾きや値が変化していくことになりますが、12月27日時点で計算したコアレンジは、半年後の6月末時点で3万5,255~3万0,808円、2024年末では3万6,388~3万1,941円となります。

図7 日経平均(週足)の値幅計算(2023年12月27日時点)

出所:MARKETSPEED IIを元に筆者作成

 株価水準の視点では、値幅計算の目標値を使っていきます。

 いわゆる目標値計算には、「E計算値」や「N計算値」などがありますが、図7では細かい計算方法の説明は抜きにして、視覚的に見やすくするために、値幅に応じて色分けしています。起点となる安値から高値までの上昇幅(オレンジ色)、高値をつけた後に下落した株価の押し目(水色)、安値と押し目の切り上げ幅(緑色)の三つになります。

 また、図7では、2種類の目標値計算を表示しています。2020年3月19日週を起点とするもの(実線)、2022年3月11日週を起点とするもの(点線)です。

 2023年12月27日時点でクリアしているのは、実線のVT計算値(3万3,004円)のみです。次の目標値は、点線のVT計算値である3万6,293円なのですが、足元の株価からはまだ距離を残しています。

 したがって、株価水準で見た2024年の日経平均は次の目標値である3万6,293円までの距離を埋めに行けるかがカギになるわけですが、ちょうど先ほどの図6における2024年12月末のプラス1σ(3万6,388円)と近い値でもあります。

 また、株価水準という点では、ここ10数年の日経平均は2~3年ごとに5,000円の値幅ずつ株価水準を切り上げるというパターンを繰り返しています。2023年は2021年あたりから約2年半続いていた2万5,000~3万円の値幅ゾーンから、3万~3万5,000円のゾーンに足を踏み入れた年でもあります。

 このパターンが続き、次の3万5,000~4万円のゾーンに突入するには、現在のゾーン内での売買と株価の上下運動をこなす時間が欲しいところなのかもしれません。

 最後になりましたが、2023年も当連載レポートをお読みいただきありがとうございました。引き続き2024年もよろしくお願いいたします。