ただし、政府に税金を納める必要がある

 ここまでで完了すればよいのですが、現実には、政府に税金を納める必要があります。個人は所得税、企業は法人税といった形で納税することになります。

 前ページの表の付加価値から右側の部分だけを再掲します。

 ここで、個人の所得税、企業の法人税ともに20%だと仮定しておきます。

 すると「パンを作るだけの経済」の中の個人(家計)は、賃金総額35のうち、その2割に相当する7を所得税として、納税することになります。一方、企業も、もうけ15のうち、その2割相当額の3を法人税として納税することになります。

 ここまでをまとめると、

 世の中に生み出された付加価値総額(GDP、国内総生産)は、個人(家計)、企業(株式会社)、政府の3者に分配される、ということになります。

日本のGDP

 では、このGDPですが個人(家計)、企業(株式会社)、政府への実際の分配比率はどのくらいになっているのでしょうか。

 最も身近な日本のGDPを例に確認してみましょう。

 日本の場合、ざっくりいうと、

 個人:企業:政府 = 6:2:1

 くらいになっています。

 年度によっても異なりますので、あくまで大まかなイメージとしてとらえていただければと思いますが、日本のGDPのうち6割弱がみなさん(個人、家計)へ支払われるお給料となっており、2割強くらいが企業のもうけ(株主へ)、そして1割強が政府へ税金として支払われる、ということになっています。