パン作りからGDPを理解する
新聞などでGDPというキーワードを目にされたことがあるのではないかと思います。これはGross Domestic Productの略で、国内総生産と訳されています。具体的に何なのかを一言でいうと、「国内で生産された商品やサービスといった付加価値の合計額」ということになります。
ただし、これだけでは何のことか、まったく分からないと思いますので、パン作りを例に具体的にご説明させていただきます。
この「パン作りの経済」に登場するのは、
- 小麦農家
- 製粉業者
- パン工場
- 石油
の4つです。ここでは、経済活動に必要となるエネルギーを象徴するものを「石油」としていますが、実際には電気、水道などのエネルギー資源をイメージしていただければと思います。
左端の小麦農家は、小麦を生産して、製粉業者に小麦を売ります。15で販売することで15のお金を手に入れますが、エネルギーとして石油を5で購入していますので、手元に残るお金は10(=生み出した付加価値)となります。
次に、左から2番目の製粉業者は、小麦農家から小麦を15で仕入れ、製粉した上で、パン工場に40で販売します。その過程で、石油を10で仕入れています。
つまり、小麦粉の売上40に対して、小麦の仕入れ15と石油10が費用としてかかっていますので、手元に残るもうけは15(=40ー15ー10)(=生み出した付加価値)となります。
最後に、パン工場です。これまでと同様に、製粉業者から小麦粉を40で仕入れ、15の石油を使ってパンを製造し、80で販売します。すると、パン工場のもうけは、25(=80ー40ー15)(=生み出した付加価値)となります。
これらの関係を表にまとめると、以下のようになります。
例えば、製粉業者の製造した小麦は40(生産総額)ですが、15で小麦を仕入れ(中間投入)、10の石油を使っています。その結果、生み出した付加価値は15というわけです。
小麦農家、製粉業者、パン工場の生み出した付加価値の合計は50となりますが、これがまさにGDP(国内総生産)と呼ばれるものです。