GDPは家計と企業に分配される

 ここで、小麦農家は個人事業主、製粉業者とパン工場は企業(株式会社)として、それぞれ経済活動を行っていたと仮定します。

 すると、小麦農家が生み出した付加価値10は、全額が個人としてのもうけになりますから、個人として、全額を手に入れることになります。

 一方、製粉業者とパン工場は、企業として従業員を雇用してビジネスを行っていますので、もうけの一部を従業員に賃金として支払い、残りが企業としてのもうけになります。

 ここでは表のように、

製粉業者では  (従業員賃金):(企業のもうけ)=10:5
パン工場では  (従業員賃金):(企業のもうけ)=15:10

 だったとします。

 すると、製粉業者では10が従業員に賃金として支払われ、パン工場では同じく15が支払われます。一方、企業としてのもうけが製粉業者では5、パン工場には10残ることになります。

 このもうけは一体誰のものになるのでしょうか?

少し考えてみてください

 

 そうです、株主のものになります。

 株式会社であれば必ず株主がいますので、株主が使い道を決められるお金になります。

 株主に対して「配当」という形で、もうけの一部を分配することもできますし、企業内に貯めておき、ビジネスの拡大に向けた事業資金として活用することもできます(内部留保と呼ばれています)。

 つまり、ざっくりいうと、

 世の中に生み出された付加価値(GDP、もうけ)は個人(家計)もしくは企業(株式会社)に分配される、ということになるのです。