特定口座からの乗り換えや預貯金を使う方法も

 給与収入以外にも、新NISA投資に使うことができる資金はあります。皆さまからいただいた回答は以下の通りです。

<新NISA、どのような資金で投資しますか(複数回答可)>

 給与などの収入から投資すると回答した方が29.4%いました。他に、特定口座で保有する投資商品を売却した代金で投資すると回答した方が26.8%、預貯金から投資すると回答した方が46.4%でした。さまざまな原資を使って投資を考えていることがわかります。

 すでにお持ちの投資や貯蓄を活用すれば、年360万円の新NISA投資が可能になる方もいます。ご参考まで、年齢階級別の貯蓄・負債額の平均は以下の通りです。

<年齢階級別、貯蓄および負債の1世帯当たり現在高>

 あくまでも平均値ですが、49歳以下の家計のネット貯蓄高はマイナスです。50歳以上からネット貯蓄高が拡大しています。

特定口座からの乗り換え、メリットとデメリット

 課税口座(特定口座など)での株式や、投資信託などへの投資額が240万円を超えている人は、来年、新NISAが始まったら保有証券をいったん売却してから、新NISA口座「成長投資枠」で買い直すことを検討していいと思います。課税口座での投資が非課税口座に移るメリットがあります。

 ただし、乗り換えをすることには、デメリットもあります。メリットとデメリットを比較した上で、メリットが大きいと判断する場合だけ、やったらいいと思います。

<特定口座から新NISAへ乗り換えるメリットとデメリット>

出所:楽天証券経済研究所が作成

 特定口座で保有している間の値上がりがとても大きく、大きな評価益をかかえている銘柄は、新NISAへ乗り換える際に、売却益に源泉税などの税金がかかるデメリットがあります。評価益が大きい銘柄は、乗り換えない方がいい場合があります。

 特定口座での評価益は、遅かれ早かれ、利益確定売りする時に税金がかかります。ただし、課税される時期をなるべく遅くして、複利での投資効果を高めることを考えた方がいい場合もあります。

 以下のように、短期的に株価が急騰している銘柄は、特定口座から新NISAに乗り換えない方がいいと思います。

<短期急騰する株価・イメージ図>

出所:説明のため筆者作成

 こういう短期急騰銘柄は、新NISAへ乗り換えるのではなく、利益確定で少しずつ売るだけでいいと思います。

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