日本株は割安で、良い買い場との判断を継続しています。ただし、短期的には下落もあります。急落・急騰を繰り返しながら、上昇トレンドをたどると予想しています。

 このような時、日本株に投資するならば、大型の高配当利回り株から買っていくといいと思います。今日は、来年1月から始まる新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の「成長投資枠」で投資することもできる、楽天証券スーパースクリーナーを使った銘柄選択の例をご紹介します。

スーパースクリーナーを使った高配当利回り株の選択例

<スクリーニング条件>
【1】コンセンサス・レーティング3.6以上
【2】配当利回り(予想)3.8%以上
【3】時価総額1兆円以上

<スクリーニング結果>

出所:楽天証券スーパースクリーナー2023年11月27日時点

コンセンサス・レーティングは重要、大型株から予想配当利回り3.8%以上の銘柄を選ぶ

 上記は、三つのスクリーニング条件から選んだ9銘柄です。私が、三つの条件を選んだ理由を以下に記載します。

【1】コンセンサス・レーティング3.6以上

 これは、とても重要です。それぞれの銘柄について、多数のアナリストが「買い」「売り」「中立」などの推奨レーティングをつけています。その推奨の平均値をとったものが、コンセンサス・レーティングです。

 まず、どのようにレーティングを計算するか説明します。一つの例で説明します。アナリストの推奨レーティングは通常、以下のように分布しています。

 上記の銘柄では、さまざまな証券会社に所属する13人のアナリストがレーティングをつけています。7人が「強気(または買い)」、2人が「やや強気」、3人が「中立」、1人が「弱気(または売り)」と判断しています。

 コンセンサス・レーティングを計算する際、まずアナリストの推奨をスコア(数値)に換算します。強気は5、やや強気は4、中立は3、やや弱気は2、弱気は1として、平均値を計算します。上記銘柄について計算すると、以下の通り、約4.1となります。

(5点×7人)+(4点×2人)+(3点×3人)+(1点×1人)=53点  53点÷13人=平均4.08

 証券会社のアナリストは、通常、IR担当者や経営陣を取材してディスカッションした上で、レーティングを決めています。アナリストが現在、この銘柄をどう見ているか知ることは大切です。

 ただし、1人のアナリストの意見だけ見ても十分とはいえません。そのアナリストの意見が片寄ったものかもしれないからです。多数のアナリストの意見を一覧して、その銘柄がどう見られているのか参考にすることが大切です。

 コンセンサス・レーティングが3(中立)以下の銘柄には、株価に織り込まれていない悪材料がある場合もあります。私は、今回のスクリーニングではレーティング3.6以上を選別条件としました。

【2】予想配当利回り3.8%以上

 予想配当利回りが高いということは、株価が割安である可能性が高いことを意味します。最近、高配当利回り株の上昇が目立っていますが、それでも株価指標で見てなお割安と考えられる銘柄を選択しています。

【3】時価総額1兆円以上

 配当利回り(予想)は高ければ高いほど、良いというわけではありません。なぜならば、株の配当利回りは、確定利回りではないからです。業績が悪化して、減配(1株当たり配当金を減らすこと)になり、株価が下がることもあります。高配当利回りを選別する時は、なるべく減配リスクが低い銘柄を選ぶべきです。

 減配リスクが低い銘柄に絞りこむ方法は、いろいろあります。減配リスクが低い銘柄には、一般的に以下の特色があります。

  1. 時価総額が大きい
  2. 経常利益率が高い
  3. 自己資本比率が高い(借金が少ない)
  4. 景気の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ株)
  5. 経営者が株主への利益配分に積極的

 全てを満たす銘柄はありません。上記の一つか二つを満たせば十分と考えます。

 今日は、一番単純で分かりやすく、かつ重要な条件一つだけに絞りました。「時価総額が大きい」(時価総額1兆円以上)という条件を付けました。時価総額が大きい銘柄には、財務が良好で収益基盤が安定的な銘柄が多いので、「時価総額が大きい」という条件を加えるだけで、財務や収益力に問題をかかえる銘柄をはじく効果があります。