ポジション調整一巡後は、依然残る日米金利差から再び円売りも

 21日の東京外国為替市場では1ドル=147円台前半までドル安円高に行きましたが、その後はポジション調整が一巡したのか徐々にドルは買い戻され、ニューヨーク外国為替市場では148円台に乗せました。

 米国の10年物インフレ連動債(TIPS)の入札が低調だったことで米国債が売られ(長期金利は上昇)、一時4.38%台まで低下していた米10年債利回りは、4.43%台まで上昇しました。1ドル=148円台前半となり、FOMCの議事要旨公表待ちとなりました。

 21日に公表されたFOMC議事要旨(10月31日~11月1日分)では、「当局者全員が金利について慎重に進めることに同意」、「インフレの進展が不十分な場合、FRBはさらなる引き締めを検討」するとのタカ派的な内容であったため、1ドル=148.60円近辺まで円安が進みましたが、それ以上の勢いはありませんでした。

 ポジション調整一巡後の来週には、再び日米の絶対的金利差が依然残っていることから円売りが再開されるかもしれません。ただ、今年はあと1カ月あり、12月12~13日には今年最後のFOMCが控えているため、投資家は慎重になりそうです。

 投資家は、10月31日~11月1日の議事要旨がタカ派的であっても今後はどうなのか、12月のFOMCで今後のFRBの政策姿勢を確認し、また3カ月に一度公表される経済・金利見通しも確認して来年の投資戦略を立てることが予想されるため、円売りに以前ほどの力強さはないかもしれません。1ドル=150円は遠い水準になるかもしれません。

円安地合い終了と判断するのは尚早、米利下げ前倒し観測次第

 先週15日に発表された日本の2023年7-9月期GDP(国内総生産)速報値は実質年率2.1%減と予想を大きく下回ったため、市場は日本銀行の緩和姿勢継続を織り込みました。

 ただし、24日(金)に発表される日本の10月CPI上昇率が予想を下回ると(生鮮食品を除く総合指数の9月実績は前年同月比2.8%上昇)、緩和継続観測が強まり、円高が進んだ反動で短期的に円売りが大きくなることが予想されるため注意する必要があります。

 今回の円高は、米国の景気減速が懸念され、米金融政策が変わるとの思惑によって米長期金利が低下しドル安が進みましたが、相場地合いが変わったと判断するのはまだ早いかもしれません。12月のFOMCや、それまでに発表される米11月雇用統計や11月CPIの指標を見るまでは、相場もふらつきそうです。

 相場地合いが変わるとすれば、これらを踏まえて年末・クリスマス商戦を見極め、来年の利下げ前倒し観測が市場で大きく強まることによって米長期金利が一段と低下してからではないでしょうか。