暗号資産やゴールドの税体系はなかなか厳しい

 暗号資産の売却益は総合課税の雑所得、ゴールドの売却益は総合課税の譲渡所得です。所得区分は異なりますが税率は他の所得と合算した総合課税である点は同じです。

 また、暗号資産であれば暗号資産の売却損益や外貨預金の為替差損益と損益通算ができますし、ゴールドの場合はゴールドの売却損益や他の総合課税の譲渡所得と損益通算できます。

 ゴールドの場合は特別控除50万円がありますし、所有期間が5年超の場合は所得の額が2分の1となるためかなり税額が軽減されます。ここが暗号資産の利益とは大きく異なる点です。

 一方、両者とも損失が生じた場合は、他の所得と損益計算できませんし、翌年以降への繰り越しもできず切り捨てとなってしまいます。

 この面では、暗号資産やゴールドは、損失が生じたときの税制面の手当ては受けられないと思っておきましょう。

 損益通算ができない、そして総合課税である、ということなので、対策をするとなれば、今年の年末に半分、来年の年初に半分、というように年をまたいで売却して、各年ごとの所得を小さくして税額を抑えるくらいでしょうか。

 ゴールドの場合は所有期間が5年以内と5年超で大きく税額が変わってきますので、この点も考慮に入れて、いつ売却するかを決めるのが良いと思います。

総合課税の他の所得と損益通算が可能なものとは?

 総合課税の所得、例えば給与所得、事業所得、不動産所得は、損益通算が可能となります。

 給与所得がマイナスというのはありえませんので、よくあるケースとしては「給与所得や事業所得がプラス、不動産所得がマイナスで両者を損益通算」というものです。

 不動産賃貸の場合、減価償却費の計上により不動産所得をマイナスにし、給与所得や事業所得のプラスと損益通算し、節税をするというのが王道です。特に、給与所得や事業所得が多い方であれば、不動産所得のマイナス額の50%程度が節税額になりますのでかなりインパクトも大きいです。

 ただ、減価償却費が小さくなり、不動産所得がプラスになれば、それは総合課税の税率で課税されますので、他の所得が多ければ逆に所得の50%が税金としてかかってしまう点には注意が必要です。

 不動産賃貸を事業として行うのであれば、かなりしっかりと取り組む必要がありますし、手間暇もかかります。それに加え、所得の半分が税金で持っていかれるというのはなかなか厳しいものがあります。

 ですから、そこまでガッツリと不動産投資を行うつもりもないし、所得の半分も税金を持っていかれるのを避けたいというのであれば、REIT(リート:上場不動産投資信託)への投資も一考です。

 REITであれば、上場株式や投資信託と同じ税体系なので、分配金の税率は最大でも20.315%で済みます。