インド株式への分散投資ツールに注目

 インド株式への投資を検討するにあたっては、個別銘柄のリスクや比較的高い取引コストの壁があります。そこで、具体的な投資ツールの参考例としてインド経済の成長に沿う投資成果を目指すファンド(追加型公募投信)をご紹介します。

「HSBCインド・インフラ株式オープン」は、インドのインフラ関連株式に分散投資しているファンドです(*同ファンドは来年スタートする新NISA[ニーサ:少額投資非課税制度]の成長投資枠対象ファンドとなっています)。

 インド政府は「メイク・イン・インディア」構想を推進し、海外からの直接投資(工場進出)を誘致・拡大するべく、道路、橋、港湾、運輸、電力網などのインフラ(社会的基盤)整備を急いでいます。

 実際、インドでは地方の幹線道路が十分に舗装されず、昼夜を問わずに停電が頻発することなどが海外から進出した多国籍企業の悩みでした。モディ政権はインフラ整備に重点を置き、2024年度(2024年4月~2025年3月)までに100兆ルピー(約180兆円)規模のインフラ投資を行う計画を公表しました。

 同ファンドの投資対象である資本財、素材、公益事業、運輸、エネルギーなどのインフラ関連銘柄は、政府の推進するインフラ整備から恩恵を受けると見込まれています。図表3は、同ファンドの基準価額(円)と日経平均株価の推移を比較したものです(2020年初=100)。2021年以降、同ファンドのパフォーマンスは日経平均よりも優勢となっています。

 国際分散投資に伴うポートフォリオ効果を資産形成に取り込むことが期待できそうです。長期目線に立った「コア・サテライト戦略」におけるサテライト部分(新興国株式への投資)の役割を担うツールとしてインド株式ファンドへの投資に注目したいと思います。

<図表3>インド株式投信のパフォーマンスに注目

*上記ファンドは原則として為替ヘッジを行いません。運用純資産は約290億円です。
(出所) Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年10月24日)

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