米国株式は中東情勢緊張と長期金利上昇が重し

 米国市場は10月に入りいったん底堅い動きに転じましたが、中東情勢の緊張激化と長期金利上昇が株価の重しとなり神経質な展開となっています。図表1は、世界の主要株価指数別の期間別リターンを示した一覧です。

 世界株式の10月初来騰落率は▲0.2%とマイナスとなっています(18日時点)。一方、世界株式の時価総額ウエートで6割超を占める米国株式は、S&P500種指数が+0.6%とプラスを維持しています。一時は複数のFRB(米連邦準備制度理事会)高官が追加利上げに慎重な発言をし、金利の先高観が後退したことが株式の底堅さにつながりました。

 ただ、17日に発表された9月の小売売上高や鉱工業生産、18日に発表された9月の住宅許可件数が市場予想を上回ったことで長期金利は4.91%超まで上昇し、株式は下落しました。

 一方、第3四半期(7-9月期)の決算発表が比較的底堅く始まったことは株式市場を下支えました。S&P500を構成する500社のうち64社が決算を発表した18日時点で、売上高総額は前年同期比+6.2%の増収、純利益総額は前年同期比+3.9%の増益となっています(Bloomberg集計)。

 とは言っても、中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスクと原油先物相場の上昇に加え、テック株を中心に株式のバリュエーションに影響を与えやすい長期金利の上昇を市場は引き続き警戒しており、目先は不安定な相場を余儀なくされそうです。

<図表1>10月も世界株式は不安定な動き

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年10月18日)