ジュニアNISA、贈与に活用できる?

 読者の方から、「ジュニアNISAにかけた元金、利益は全て贈与税なしで、子供に渡せるのでしょうか?」と質問をいただきました。

 以下の通り、回答いたします。

 ジュニアNISA口座を開設できるのは、0~17歳の未成年者です。ただし、その両親または祖父母が資金の出し手・運用管理者になることができるという点で、とても使い勝手の良い制度です。

 両親からお子さまへ、または祖父母から孫への贈与とすることもできます。年間の投資額は80万円で、贈与税の基礎控除(年間110万円)の範囲内ですから、同じ年に他の贈与がなければ、投資元金に贈与税はかかりません。元本が贈与されていれば、元本から生まれる投資収益にも贈与税はかかりません。

 ただし、ジュニアNISA口座に資金を入れただけで贈与が自動的に成立するわけではありません。一般の贈与と同じで、贈与の事実が証明できないと、まれに贈与が否認されることもあります。贈与の証跡を残しておいた方が良いこともあります。詳しくは、税の専門家に相談してください。

ジュニアNISA、今からでも駆け込むべき?

「子供が15歳と13歳なのですが、今からでもジュニアNISAに駆け込むべきですか?」という質問をいただきました。

 投資をするための余裕資金をお持ちでしたら、利用できる「非課税投資制度」は最大限、活用すべきです。税制上の損得だけを考えるならば、回答は「はい、今からでも駆け込みでジュニアNISAをやるべき」です。今年中にジュニアNISAで投資すれば、お子さまが18歳になるまで非課税での運用が継続します。

 ただし、ジュニアNISAをやるべきか否か考える上で、もう一つ、重要な判断材料があります。

ジュニアNISAを通じて15歳・13歳のお子さまに生きた投資教育を

 ジュニアNISAは、両親または祖父母からお子さまへ、1人最大80万円の贈与になります。同じ年に他の贈与がなければ、贈与税の基礎控除(110万円)の範囲内なので、贈与税はかかりません。

 ただし、そのような大金をお子さまに渡すことには賛否両論があります。ただお金を贈与するだけでなく、ジュニアNISA口座で投資信託・株式への投資を経験させることにもなります。その点についても賛否両論があります。

 まず私の意見を述べます。私は、生きた投資教育として、たとえ5万円でも10万円でもいいので、ジュニアNISAを通じて、お子さまに投資を学ばせたら良いと思っています。利益が得られればうれしいし、損をしても「損することもある」という現実を学ぶ意味があります。

 日本にはこれまで、子供にお金について学ばせる習慣があまりありませんでした。子供にお金の話をするのは、良くないこととする風潮もありました。そのため、中高年になってもお金について人生設計ができない方がいます。

 そこにつけ込んで、老後の不安をあおりつつ、高額な手数料を取るビジネスがはやります。そうならないように、若いうちに少額でも良いので投資で損する経験ももうかる経験もするべきと、私は思います。

 ただし、今でも、子供に投資をさせることに反対する声も聞きます。以下のような声です。

「学生時代は、勉強やスポーツに集中してほしい。株でもうけたり損したりすると気が散る」

「時給1,000円のバイトを頑張っている学生に、簡単に大金を渡すべきでない」

 皆さまは、どう考えますか?

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