ジュニアNISAを通じ、お子さまに生きた投資教育を

 節税の観点だけ考えるならば、ジュニアNISAは使った方が良いと言えます。ただし、ジュニアNISAをするべきか否か考える上で、もう一つ、重要な判断材料があります。

 ジュニアNISAは、両親または祖父母からお子さまへ1人最大80万円の贈与になります。同じ年に他の贈与がなければ、贈与税の基礎控除(110万円)の範囲内なので、贈与税はかかりません。

 ただし、そのような大金をお子さまに渡すことに賛否両論あります。ただお金を贈与するだけでなく、ジュニアNISA口座で投資信託・株式への投資を経験させることにもなります。それにも賛否両論あります。

 まず私の意見を述べます。私は、生きた投資教育として、たとえ5万円でも10万円でも良いのでジュニアNISAを通じて、お子さまに投資を学ばせたら良いと思っています。利益が得られればうれしいし、損をしても「損することもある」現実を学ぶ意味があります。

 日本にはこれまで、子どもにお金について学ばせる習慣があまりありませんでした。子どもにお金の話をするのは、良くないこととする風潮もありました。そのため、中高年になってもお金について人生設計ができない方がいます。

 そこにつけ込んで、老後の不安をあおりつつ、高額な手数料を取るビジネスがはやります。そうならないように、若いうちに少額でも良いので投資で損する経験ももうかる経験もするべきと、私は思います。

 ただし、今でも、子どもに投資をさせることに反対する声も聞きます。以下のような声です。

「学生時代は、勉強やスポーツに集中してほしい。株でもうけたり損したりすると気が散る」
「時給1,000円のバイトを頑張っている学生に、簡単に大金を渡すべきでない」

 相談者さんは、どう考えますか?

 最後に、贈与の成立について、一点だけ注意があります。ジュニアNISA口座に資金を入れただけで贈与が自動的に成立するわけではありません。一般の贈与と同じで、贈与の証跡がないとまれに贈与が否認されることもあります。詳しくは、税の専門家に相談してください。

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