長短金利の逆転幅が拡大

 0.25%の利上げ実施により、長短金利(10年金利とFF金利)の逆転幅【注】はさらに拡大しました。

【注】長期金利は、短期金利より高いのが「普通の状態」です。ただしFRBが利上げ(短期金利の引き上げ)を続けると、短期金利が長期金利よりも高くなる「長短金利逆転」が起こることがあります。そうなると、金融引き締めによって米景気にブレーキをかけることになります。

米FF金利、長期金利、NYダウ月次推移:2004年1月~2023年7月(26日)

出所:QUICK、ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 米国景気には、長短金利が逆転してから半年~1年くらい後にリセッション(景気後退期)入りするという経験則があります。ただし、それはあくまでも経験則で、そうならないこともあります。今回、米景気は減速してきているものの雇用は強いままです。

 来年にかけてAI(人工知能)や半導体への投資が盛り上がり、米景気が持ち直すとの期待もあります。長短金利は逆転しているものの、これまでの経験則は当てはまらず、米景気はソフトランディングするという楽観が広がっています。

 それにしても長短金利逆転幅がこれだけ大きく開いたにもかかわらず、FRBがさらに利上げを続けるならば、米景気リセッション入りのリスクが高まります。FRBからいつ「これ以上の利上げは必要ない」と明確なメッセージが出るかが、今後の注目です。

日本株は良い買い場、少しずつ買い増す方針継続

 日本株への投資方針は、毎週述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期的に良い買い場を迎えていると考えています。ただし、短期的なショック安はまだあるかもしれないので、リスク管理が大切です。時間分散しながら日本株への投資を少しずつ増やしていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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