「返礼品は寄付額の3割以下」の制限下、実質返礼率の高さで注目の「訳あり」品

 総務省は、2019年6月からふるさと納税の返礼品について「寄付金額の3割以内」「地場産品に限定」というルールを適用しています。その結果、全国の自治体は「一定の金額で地場産品からいかに魅力的な返礼品を提供するか」競う形となっています。例えば、1万円の寄付に対して3,000円を超えない範囲でいかに魅力的な返礼品を提供できるか競うことになります。

 緊急支援品には、コロナ禍での需要激減で一定期間内に販売できなければ廃棄を余儀なくされる可能性のある食材なども含まれます。そうした食材は、価格が下落します。価格が下がった分、一定の金額内で返礼品として提供できる量が増える場合があります。それが、緊急支援品の魅力を高めています。

「返礼品は寄付額の3割以内」というルールについて、総務省は2019年4月1日付「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて」で、さらに詳しく説明しています。「返礼割合を計算するにあたっての調達に要する費用とは、当該品物の原価、仕入れ値、定価ではなく、返礼品等の調達のために地方自治体が現に支出した額とすること」としています。

 生産者に直接支払う金額ですから、調達コストは「小売価格」ではなく、「生産者の出荷価格」に近い価格になると考えられます。農産物で、生産者の出荷価格は平均すると小売価格の半分程度です。訳あり品・緊急支援品では、もっと低くなる可能性もあります。

 従って、返礼品が寄付額の3割以内とは言っても、それは生産者価格ベースでのことで、小売価格ベースで計算すると返礼割合が5~10割に達するものもあり得るということです。

 ここまで、「訳あり」の魅力について説明しました。以下、ふるさと納税の仕組みをよくご存じない方のために、制度概要を解説します。