ふるさと納税の返礼品人気に最近少し変化があります。物価がどんどん上がる時代となったことから生活防衛を意識してトイレットペーパーなど生活必需品に人気が出ています。お米は定番の人気商品です。また、フードロス削減と実質返礼率の高さから「訳あり」品が引き続き人気です。実質返礼率については後段で説明します。
「訳あり」返礼品とは
ふるさと納税で人気を集めている返礼品に、「訳あり」があります。楽天ふるさと納税サイトで検索すると、現在1万5,000を超える「訳あり」返礼品が出ています。人気の高まりにつれ、年々、「訳あり」品の提供が増えています。「訳あり」には以下のようなものが
【1】傷あり・傷もの
天候や商品特性による傷、収穫時についてしまった傷など、多少見た目は劣っても、品質は変わらないフルーツ・野菜・魚介類などが返礼品として提供されます。
【2】規格外
大きさ・サイズや形状が定められている基準に当てはまらないものを規格外として、返礼品に提供されます。
【3】ふぞろい
形や部位がふぞろい、サイズが不統一、などの理由で店頭に並ばない食材を、返礼品として提供するもの。
いずれも流通市場に出せない、あるいは出しても著しく価格が低くなるものです。味や品質に変わりはないのに価格が低くなることが多く、ふるさと納税の返礼品として「量を多めに入れられる」場合があります。
「訳あり」と似たコンセプトで、「緊急支援品」も一時人気を博していました。緊急支援品とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で消費が大幅に落ち込んでいる外食業向けの高級食材などを、「緊急支援品」として返礼品に提供するものです。
コロナ禍からのリオープン(経済再開)が進み、コロナ関連の緊急支援品は減りつつありますが、引き続き、「訳あり」と並んで人気を博しています。
厳格な使い分けがあるわけではないので、一つの返礼品が、「訳あり、緊急支援品」と両方の分類に入っている例もあります。いずれも、フードロス削減・生産者支援に加え、支援品としての魅力の高さから注目されることがあります。
「返礼品は寄付額の3割以下」の制限下、実質返礼率の高さで注目の「訳あり」品
総務省は、2019年6月からふるさと納税の返礼品について「寄付金額の3割以内」「地場産品に限定」というルールを適用しています。その結果、全国の自治体は「一定の金額で地場産品からいかに魅力的な返礼品を提供するか」競う形となっています。例えば、1万円の寄付に対して3,000円を超えない範囲でいかに魅力的な返礼品を提供できるか競うことになります。
緊急支援品には、コロナ禍での需要激減で一定期間内に販売できなければ廃棄を余儀なくされる可能性のある食材なども含まれます。そうした食材は、価格が下落します。価格が下がった分、一定の金額内で返礼品として提供できる量が増える場合があります。それが、緊急支援品の魅力を高めています。
「返礼品は寄付額の3割以内」というルールについて、総務省は2019年4月1日付「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて」で、さらに詳しく説明しています。「返礼割合を計算するにあたっての調達に要する費用とは、当該品物の原価、仕入れ値、定価ではなく、返礼品等の調達のために地方自治体が現に支出した額とすること」としています。
生産者に直接支払う金額ですから、調達コストは「小売価格」ではなく、「生産者の出荷価格」に近い価格になると考えられます。農産物で、生産者の出荷価格は平均すると小売価格の半分程度です。訳あり品・緊急支援品では、もっと低くなる可能性もあります。
従って、返礼品が寄付額の3割以内とは言っても、それは生産者価格ベースでのことで、小売価格ベースで計算すると返礼割合が5~10割に達するものもあり得るということです。
ここまで、「訳あり」の魅力について説明しました。以下、ふるさと納税の仕組みをよくご存じない方のために、制度概要を解説します。
「ふるさと納税」とは
ふるさと納税は、自分が応援したい都道府県、市区町村に、実質2,000円の負担で、寄付ができる制度のことです。寄付した自治体から、返礼品が贈られてくる魅力もあります。年収などの条件によって決まる上限額の範囲内で寄付をすれば、寄付額から2,000円を差し引いた金額だけ、ご自身の納税額(所得税および住民税)が減ります。
例えば、実質2,000円の負担で5万円まで寄付できる方の場合、5万円を応援したい市区町村に寄付し、寄付金控除の手続きをすると、2,000円を差し引いた4万8,000円【注】だけ、ご自身が納めるべき税金が減ります。5万円寄付すると、4万8,000円分、納税額が減るわけですから、実質2,000円の負担で5万円の寄付を行ったことになります。
【注】「ふるさと納税」を実施し、確定申告を行うと、所得税、住民税(都道府県民税および市町村民税)の納税額が減ります。5万円を寄付した場合、(1)所得税・(2)都道府県民税・(3)市町村民税の納付額の減少額を合計すると、ちょうど4万8,000円となります。
確定申告なしで、税額控除を受ける方法もあります。
ふるさと納税で寄付を行う自治体数が五つ以内なら、ワンストップ特例制度が使える
「確定申告で寄付金控除の手続きをしてください」と言われても、確定申告した経験がない方には、とても難しいことです。でも、諦める必要はありません。確定申告をしなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法があるからです。それが、「ワンストップ特例制度」です。
1年間に「ふるさと納税」で寄付する自治体の数が五つ以内ならば、確定申告をしなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。それが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。ふるさと納税を行う際に、寄付を行う自治体に、「ワンストップ特例の適用を受ける申請書」を提出する必要があります。
ワンストップ特例を使う場合は、所得税は減りません。住民税だけで、「ふるさと納税額-2,000円」分、納税額が減ります。先に例に挙げた、5万円まで実質2,000円負担で寄付できる方の場合、5万円をワンストップ特例で寄付すると、確定申告しないでも、4万8,000円だけ、ご自身が納める住民税が減ることになります。
「楽天ふるさと納税サイト」などを通じて、ふるさと納税(寄付)を行う際、「ワンストップ特例申請書の送付」について、「希望する」を選択すれば、後で、寄付をした自治体から、申請書が送付されてきます。
送付方法は、自治体により異なります。封筒に入れて送ってくることが多いですが、返礼品の中に一緒に入っていることもあります。送られてきた申請書に必要事項を書き込み、「マイナンバー」関連の必要書類を添付して返送すれば手続き完了です。
返送用封筒は、入っている場合と入っていない場合があります(それも自治体により異なります)。入っていない場合は、自分で返送用封筒を作成して、返送してください。
寄付した翌年の1月10日までに、申請書が自治体に着かなければならないことに注意してください。2023年のふるさと納税ならば、2024年1月10日までに提出してください。間に合いそうにない場合は、寄付する自治体に相談してください。
締め切りに間に合わなかったときは、「確定申告」すれば寄付金控除を受けることができます。「ワンストップ特例申請書」の提出が間に合わなかったとき、忘れたときは、「確定申告」しましょう。
確定申告で寄付金控除を受けるときは、寄付する自治体が何件でも(5件を超えても)問題ありません。
「ふるさと納税」最初の一歩!何はともあれ、まず、ご自身の「寄付上限額」を知ろう
年収、家族構成、扶養家族の人数などの条件により、ふるさと納税で自己負担額が2,000円を超えずに寄付できる「寄付上限額」が決まります。その上限額を知らないことには、ふるさと納税は始められません。
まず、以下の楽天ふるさと納税サイトの「かんたんシミュレーター」から、ご自身がふるさと納税の寄付金控除を受けられる「寄付上限額」の目安を、調べる必要があります。
ここで、「年収(2023年の見込み額)」「家族構成」「扶養家族」に関する情報を入力していただくと、寄付上限額(目安)が表示されます。
そこで表示される金額の上限いっぱいではなく、まず毎月少しずつふるさと納税をやっていくのが、良いと思います。例えば、初めてふるさと納税をしようとして、「あなたの寄付上限額(目安)は60,550円」と表示された方の場合、その半分、3万円くらいを8~9月にしてみて、残りの半分を10~12月にするという方法も良いと思います。
確定申告する予定ならば、何件に寄付してもOKです。5,000円の寄付を三つの自治体に行っても良いと思います。ワンストップ特例制度を使うならば、寄付する自治体の数が年間で5件以内となるように考えて、1自治体への寄付額を決める必要があります。
寄付する時期によって、返礼品は異なります。「1~3月」「4~6月」「7~9月」「10~12月」に分散して寄付すると、春・夏・秋・冬に、季節おりおりの返礼品が楽しめます。今から始めるならば、8~12月まで、時期を分散して行っていくのが良いと思います。
「10~12月」が近づき、2023年の年収額もほぼ分かるようになり、寄付上限いっぱいまでふるさと納税を行う際には、「かんたんシミュレーター」ではなく、「詳細版シミュレーター」で、正確に計算する必要があります。
次に、寄付する自治体を選びましょう。ワンストップ特例を使うならば5自治体まで
返礼品が魅力的な自治体、応援したい自治体から選ぶのが良いと思います。楽天ふるさと納税サイトを使えば、気に入った返礼品を、自由自在に検索できます。
同時に、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法を、決める必要もあります。確定申告を行うか、確定申告不要の「ワンストップ特例制度」を利用するか、どちらかです。
確定申告をしたことがない人は、確定申告が不要の「ワンストップ特例制度」を利用したらいいと思います。そのためには、1年間に寄付する自治体を5件以内にする必要があります。
医療費控除や寄付金控除などを受けるために、確定申告をしたことがある方は、確定申告によって、ふるさと納税の寄付金控除を受ければ良いと思います。確定申告するならば、寄付する自治体の件数はいくつでも問題ありません。今年は、確定申告する予定がなく、「わざわざ確定申告するのは面倒」ならば、ワンストップ特例から始めたら良いと思います。
次に、寄付する時期を考えましょう
次に考えるべきは、寄付する時期です。理想的には、1~3月、4~6月、7~9月、10~12月に分散して寄付する方が良いです。なぜならば、寄付する時期によって、贈られる返礼品が異なるからです。季節に応じた、さまざまな特産品を楽しむことができます。
多数の自治体に、時期を分散しないで寄付すると、返礼品が一時期に集中する問題もあります。お米のように、保存の利くものならばいいですが、生鮮食料品などは、冷蔵庫に入りきらなくなることもあります。旬のものを、旬のときにいただくには、時期の分散が望ましいと言えます。
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