サウジ長期視点で原油生産を増やさない!?

 以下は、サウジアラビアにおける油井を掘削するために稼働しているリグ(掘削機)の数です(リグは油井を掘る機械であり生産するポンプではない)。

図:サウジアラビアの稼働リグ数 単位:基

出所:ベイカーフューズおよび世界銀行のデータをもとに筆者作成

 米国と異なり、サウジアラビアでの石油開発は着手から数年、長い場合で10数年かかるといわれています。つまり足元の開発活動が、数年後、10数年後の生産量に影響を与え得るわけです。

 グラフのとおり、サウジアラビアで油井を掘るために稼働しているリグ(掘削機)の数は、減少傾向にあります。2020年ごろから原油相場が急騰し、利益が大きくなりそうな状況になったとしても、です。「脱炭素」が、サウジアラビアの開発活動の手を止めてしまっていると考えられます。

「脱炭素」が長期視点であれば、「開発停滞→減産→価格つり上げ策実施」もまた、長期視点になる可能性があるわけですが、すでにもう、開発停滞が起きていると筆者はみています。