日本の円買い介入是非、米財務長官「根拠よりよく理解しようとしている」

 7月は、ドル相場は1ドル=145円に一時乗せたことから、日本政府や通貨当局者からのけん制発言も一層強まることも予想されるため、6月のような一本調子の円安ペースは期待できないかもしれません。

 日本の円買いドル売りの為替介入に対する米国の反応はどうでしょうか。2022年9月の円買い介入の時は、米財務省は「日本の行動を理解している」と介入を容認するコメントを出しました。

 今の円安局面について、イエレン財務長官は6月30日、昨年9月の介入水準である1ドル=145円の円安水準となったことを踏まえ、日本政府による介入に懸念があるか問われると「私たちのチームは介入の根拠をよりよく理解しようとしており、日本の当局者とも連絡を取り合っている」と答えています。

 現時点では介入に容認を示さなかったものの日本政府と調整に入っていることを認めています。日米からのけん制発言によって、ドルが一時的に下落する押し目は買いとのパターンが続いても、利食いの回転が速くなるかもしれません。

日銀、今月会合で政策修正期待高まる!現状維持なら為替介入警戒を

 7月の材料としては、日銀の政策変更期待が再び高まりつつある今、27、28日の金融政策決定会合が鍵になります。

 植田総裁は6月の政策決定会合後の記者会見で、「(物価の)下がり方が思っていたよりもやや遅い」と述べ、従来の物価見通しと異なる動きになっていることを認めています。

 さらに会見では、物価情勢の変化を捉えた政策修正は「ある程度、サプライズとなることもやむを得ない」と発言しています。7月会合後に発表する展望リポートで物価見通しをどの程度上方修正するのかしっかり確認したいと思います。(今年4月時点での物価見通しは、2023年度は前年度比1.8%上昇、2024年度は2.0%上昇)。 

 また、植田総裁は「(2024年にインフレが再加速する)確信が持てれば、政策変更の理由になる」とECBフォーラムのパネル討論会で述べました。

 日銀は2024年度に2%の物価上昇率を見込んでいますが、見通しの「確度」が高まれば、2024年度を待たずとも金融政策の正常化に向かうとの見方を示しています。このことも今月の決定会合で政策修正があるとの期待を高めている背景のようです。

 一方で、今月の会合で現状維持となった場合は円売り加速にも警戒する必要があります。通貨当局である財務省もその場合に備え、口先ではなく実弾による為替介入を温存しておくこともシナリオとして想定されます。