日銀のハト派姿勢が際立つか米欧英のタカ派が緩むか、ECBフォーラム

 今週は、ECB(欧州中央銀行)が主催する国際金融会議「ECBフォーラム」にも注意を向けたいです。26~28日にポルトガルで開催されています。日米欧英の中央銀行総裁が集まり、講演や討論会が行われています。

 日銀以外は金融引き締めに前向きなタカ派姿勢を取っているため、日銀のハト派スタンスが一層際立つのか、あるいは利上げによる景気へのマイナス影響とのバランスを踏まえて、米欧英のタカ派スタンスにハト派的なニュアンスが加わるかどうかが焦点です。

 28日には(日本時間午後10時30分)、ECBのラガルド総裁、FRBのパウエル議長、日銀の植田和男総裁、英中銀のベイリー総裁がパネル討論会に参加する予定です。

日米物価高指標から日銀YCC政策修正や米利上げ見送りあるか

 また、30日には日米で重要な物価指標が発表されることも材料となります。日本では、全国CPI(消費者物価指数)の先行指標である東京都区部の6月CPIが発表されます。先週23日発表の全国5月CPIの伸びが予想を上回ったにもかかわらず、市場の反応は鈍かったのですが、6月東京都区部のCPIの伸びが大きかった場合に、どのように反応するかしっかりチェックしたいです。

 東京都区部の5月の生鮮食品・エネルギーを除いたCPIは前年同月比3.9%上昇と、伸び幅は4月の3.8%から拡大しています。7月の日銀金融政策決定会合でのYCCの修正期待が高まるような数字になるのかどうか注目です。

 米国ではFRBが重視する5月PCE(個人消費支出:コア・デフレーター、食品・エネルギーを除く)が発表されます。4月は前年同月比4.7%の上昇でしたが、7月の利上げを後押しするような伸び幅になるのか、あるいは6月に続き7月も利上げ見送りを示唆するような数字になるのかどうか分析しなければなりません。

 そして今週30日(金)は、週末、月末、四半期末が重なるため、相場の動きには注意する必要があります。月末や期末にみられるリバランス(運用資産の見直し)などのポジション調整によって、これまでの相場の反対の動きが一時的に起こることも予想されます。上記の物価指標にかかわらず、相場が翻弄(ほんろう)されることにも留意しておいた方が良さそうです。