「スーパーエルニーニョ」発生予報

 6月9日、気象庁は、「エルニーニョ現象」が発生しているとみられる、今後、秋にかけて続く可能性が高いと、発表しました。エルニーニョ現象は、世界規模の異常気象の原因とされています。

 今年は47年ぶりに、冬に発生したラニーニャ現象に続き、夏にエルニーニョ現象が発生しました。エルニーニョは、スペイン語の「男の子」の意味です。ラニーニャは「女の子」です。

 以下のグラフは、この半世紀に起きたエルニーニョ現象とラニーニャ現象を示しています。気象庁は、エルニーニョ監視海域の海面水温の過去5カ月平均が、6カ月以上連続で基準に対して+0.5℃以上となることを「エルニーニョ現象」、−0.5℃以下となることを「ラニーニャ現象」としています。

 緑色がエルニーニョ現象、オレンジ色がラニーニャ現象です。過去最大となった1997年春~1998年夏にかけて発生したエルニーニョ現象は、基準に対して一時3℃以上も高くなりました。

 データを入手できた1949年から現在まで、基準に対して2.5℃以上高くなり(5カ月平均)、「スーパー」を冠したエルニーニョ現象は3回(1982年春~1983年秋、1997年春~1998年夏、2014年春~2016年春)のみです。

 4月時点で、太平洋の赤道域に蓄えられた熱量が、過去最大となった1997年春~1998年夏と同程度まで上昇していたと気象庁や専門家が述べています。今回のエルニーニョ現象が再び「スーパー」となる可能性が高くなっていると言えそうです。

図:エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差(5カ月平均)

出所:気象庁の資料およびデータをもとに筆者作成

 以下は、スーパーエルニーニョが発生することで生じる懸念(一例)です。

図:スーパーエルニーニョがもたらす懸念(一例)

出所:各種情報源より筆者作成

 今年、これまでカナダ、イスラエル、ロシアなどで大規模な山火事が発生しました。また、バングラディシュ、インド、タイなどで熱波、地中海周辺の欧州や北アフリカで異常な高温に見舞われたと報じられています。

 これら全てが「極端気象」が原因だとは言えないかもしれません。しかし、世界全体で年々増え続ける「極端気象」が、当該地域の市民の生活、政治・経済、関わりがある国・企業・人へのマイナスの影響をもたらしていることに留意しなければなりません。

「スーパーエルニーニョ」。冬にピークを迎え、その後も影響が続くとの指摘があります。わたしたちは今、大きな試練に直面しているのかもしれません。