今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、FRB(米連邦準備制度理事会)は6月のFOMCで市場の予想通り、昨年3月の利上げ開始以降で初めて利上げを見送りました。声明では、大幅利上げによるインフレや景気への影響を今後の経済指標で見直すとしています。

 インフレは昨年6月にピークアウト後、原油安が奏功して鈍化基調にありますが、そのペースは遅く、中央銀行の目標である2%にはまだ達していません。労働市場も依然力強く、利上げの必要性は残るようです。議長がタカ派色を再度強調した場合には、株価の上値を抑制することになります。

 経済指標では、5月住宅着工件数・住宅建設許可件数、6月フィラデルフィア連邦準備銀行非製造業活動指数、新規失業保険申請件数、5月中古住宅販売件数、5月景気先行指数、6月カンザスシティ連銀製造業活動指数、6月製造業・サービス業PMI(購買担当者景気指数)などが予定されています。

先週の動き

 先週の予測では、6月14日(水)のFOMCの結果発表を控え、6月は利上げ停止の観測が高まり、ドル買い・株高の流れとなりました。

 12日(月)は、NYダウは+189ドルと5日続伸。13日(火)はFOMCで利上げ一時停止見通しからNYダウは3万4,310ドルまで上昇し、終値は+145ドルの3万4,212ドルと6日続伸となりました。

 しかし、14日(水)は、6月利上げ見送りながら年内あと2回の利上げの可能性が示唆されたことで▲232ドルの3万3,979ドルと反落。15日(木)は、FOMCの結果や5月小売売上高の増加などを受け、景気後退懸念が和らぎ、+428ドルの3万4,408ドルと大幅反発で年初来高値。

 16日(金)は、FOMCで6月の利上げは延期されたものの、7月のFOMCで利上げが行われるとの見方からNYダウは▲108ドルの3万4,299ドルと反落しました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、日米金利差拡大によりドルは下げづらく、またFRBによる金融引き締めが米国経済に与える影響を見極めようと、ドル買いは慎重となりそうです。しかし、ドル高・円安は加速しており、日本政府・日本銀行による為替介入が行われる可能性も意識されるところです。

 パウエルFRB議長は次回7月開催のFOMCでの利上げについて明確な方針を明らかにしておらず、引き続き経済指標をみながらの相場展開となりそうです。足元の経済指標で小売売上高は予想を上回り、旺盛な消費を反映。

 一方、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は前月より改善したものの、7月以降に製造業の景況感が大幅に改善する可能性は低いことが示されたことで、6月23日発表の製造業とサービス業のPMIが市場予想を下回った場合、年後半の景気減速懸念でドル買い・円売りは縮小する可能性があります。

 一方、日銀は6月15~16日の金融政策決定会合で現行の金融緩和政策を継続しました。金融政策の早期修正は想定されませんが、1ドル=141円台では日本政府・日銀による為替介入が実行される可能性があります。新たなドル買い材料が提供されない場合、リスク選好的なドル買い・円売りが一段と拡大する可能性は低いとみられています。予想レンジは139~141円を想定。

先週の動き

 週末16日(金)のNY為替市場は、FRBによる追加利上げ観測再燃で、ドルが反発しました。140.24円から141.92円まで上昇し、141.87円で引けました。

 米国のインフレ低下期待で、一時、ドル買いが後退しましたが、FRB高官による追加利上げ支持の再表明を受け、金利上昇に伴うドル買いが一段と加速し、一方で日銀の大規模緩和の継続決定で円売りが強まりました。