欧州にディーゼル車ブーム到来!なぜ?

 排ガス浄化装置向けの消費が増加した背景を知るには、世界のどの地域で排ガス浄化装置向けの消費が増加したのかを知ることが必要です。図3は、プラチナの地域別の排ガス浄化装置向け消費量を示したものです。

 欧州のプラチナ需要量が急激に上昇していることが分かります。プラチナ価格急上昇前の2000年は68万トロイオンスでしたが、最も同消費が多かった2006年は206万トロイオンスと、およそ4倍になりました。

 ここで言う欧州とはWPICが自身の統計でWestern Europeとしている、ドイツ、イタリア、フランス、英国、スペイン、ポルトガルなど合計17カ国のことです。

単位:千トロイオンス
出所:WPIC(World Platinum Investment Council)のデータより筆者作成

 そして、プラチナ価格が大きく上昇した2000~2008年ごろ、図4(欧州の乗用車の新規登録台数の推移)で分かる通り、欧州のディーゼル車新規登録台数(図4内の赤実線)が急増。

 そして、その新規登録台数に占めるディーゼル車(図4内のグレイ実線)は、20~40%台に急増しています。この期間、欧州でガソリン車からディーゼル車にシフトする動きが進んだことがわかります。

 ディーゼル車の排ガス浄化装置には排ガスを浄化する触媒として主にプラチナが用いられていると言われています。ディーゼル車の登録台数の増加は、当該地域においてプラチナが重用されたことを示しています。

 プラチナ価格が大きく上昇した2000~2008年ごろまで、欧州の乗用車の新規登録台数(図4内の青点線)は微減となりました(同時期の同地域の乗用車の生産台数も微減です)。

 ディーゼル車はもともと環境規制に不向きとされていましたが、技術革新によって、クリーンなディーゼル車の製造が実現しました。

 これにより、欧州では、ガソリン車よりもパワーが優れたディーゼル車へのシフトが加速しました。これが、欧州での排ガス浄化装置向けの消費増加の一因になったとみられます。

単位:百万台
出所:ACEA(欧州自動車工業会)のデータより筆者作成