実は工業用途がメイン!プラチナは排ガス浄化の重要アイテム

 プラチナの消費のメインは、宝飾向けでなく工業用です。特に、化石燃料を燃やすことで発生するエネルギーを動力源に変える「エンジン」から発生する有害な物資を浄化する部品に使われています。

 プラチナは、自分の性質を変えずに相手の性質を変える「触媒」と呼ばれる性質を持っています。排ガス浄化装置内にある蜂の巣状の構造物の内側に蒸着されたプラチナが、その装置内を通る排ガス内に含まれる有害物質の多くを水と二酸化炭素に変えています。

 そして、毒性が低下した排ガスがマフラーを通って排出されます。プラチナは、エンジンとマフラー(消音機)をつなぐ排ガスが通るパイプに設置される「排ガス浄化装置」を構成する重要な素材なのです。

 よって、自動車など、エンジンを動力源とする乗り物や機器の生産台数が増加したり、一台当たりに使用されるプラチナの消費量が増加したりすれば、プラチナの消費が増え、相場に上昇圧力がかかると考えられます。

 図2で分かる通り、2000~2008年半ばにかけて、排ガス浄化装置向けの消費(赤線)が急激に増加しています。消費全体の30~50%の消費を占める排ガス浄化装置向けの消費が増加し、プラチナ全体の消費量が増え、これが要因となり、プラチナ価格が上昇したと考えられます。

単位:千トロイオンス
出所:WPIC(World Platinum Investment Council)のデータより筆者作成

 なぜこのタイミングで、排ガス浄化装置向けの消費が増加したのでしょうか?