今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、地銀2行の経営破綻に加え、ファースト・リパブリック・バンクも複数銀行に支援されたものの、預金流出への懸念が払拭(ふっしょく)せず、金融市場全体に警戒感が広がっています。

 また欧州でもクレディ・スイス銀行がスイス中央銀行から資金供給を受けるなど欧州でも金融混乱が広がる中で、ECB(欧州中央銀行)は理事会で予定取り0.5%の利上げに踏み切りました。

 この利上げがどういう意味なのか、不安をあおらないために予定通りの利上げだとの市場の見方があります。しかし金融不安は欧米に確実に広がっており、今後の利上げが気になるところです。

 どちらにしても利上げは株価にとってはマイナスとなりますので21~22日のFOMCが特に注目となります。

 経済指標の発表としては、2月中古住宅販売件数、週次新規失業保険申請件数、2月新築住宅販売件数、3月カンザスシティ連銀製造業活動指数、2月耐久財受注、3月製造業PMI(購買担当者景気指数)が予定されています。今週も金融不安が上値を抑えそうです。

先週の動き

 先々週末のシリコンバレーバンクの破綻に続き、シグネチャーバンクも破綻したことで、▲90ドルの3万1,819ドルと5日続落。14日(火)は、銀行株の買い戻しが強まり、また、2月消費者物価指数は予想通り鈍化したことで、金融引き締めへの過度な警戒感が和らぎ、+336ドルの3万2,155ドルと6日ぶりに反発。

 しかし、15日(水)は、金融不安が欧州にも飛び火したことで、▲280ドルの3万1,874ドルと反落しましたが、16日(木)に大手銀行による支援策の協議報道を受け、+371ドルの3万2,246ドルと反発しました。

 週末は大手11銀行から支援を受けることが発表されて反発していた米地銀のファースト・リパブリック・バンクが▲32.8%と急落し、クレディ・スイスも下落したことで金融システム全体への警戒感から、NYダウは▲384ドルと反落しました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げ継続の方針を変えていませんが、シリコンバレーバンクの破綻をきっかけとした金融システム不安がくすぶり、金融支援策が発表されても市場の警戒感は払拭されず、またECBはインフレ抑止を優先させる政策方針を決定し、FRBもこの動きに追随するとの見方も多いようです。

 直近のインフレ関連指標はインフレ緩和を示唆しており、21~22日開催のFOMCでは0.25%の利上げにとどまると見られています。

 FOMC会合終了後に公表される声明で、インフレ抑制に前向きな姿勢を緩めず、利上げ継続を示唆した場合、リスク回避のドル売り/円買いは縮小する可能性があり、金利上昇による金融市場の逼迫(ひっぱく)によって米国は景気後退に陥る恐れもあることから、利上げが実施されてもリスク選好的なドル買い/円売りは拡大せず、ドルは伸び悩む可能性があります。

 レンジは130~133円を予想。

先週の動き

 先週のドル/円は、米地銀の相次ぐ経営破綻を受け、金融システム全体への警戒感から、ドルが売られ長期金利が低下しました。週始めは、1ドル=136円台にあったドル/円が週末には、米地銀ファースト・リパブリック・バンクの再びの急落を受け、132.71円から131.56円まで下落し、131.92円で引けました。