「ここからの長期投資」の前提を確認
以下は、スウェーデンのヨーテボリ大学のV-Dem研究所が公表する、自由民主主義指数の状況です。
図:自由民主主義指数(2021年)
青が濃いほど自由で民主的であり、赤が濃いほどそうでないことを示しています。行政の抑制と均衡、市民の自由の尊重、法の支配、立法府と司法の独立性など、自由・民主主義的な傾向を示す複数の側面から、このデータは計算されています。
「今、世界は民主的か?」と問われたとき、どう答えればよいでしょうか。上の図を参考にすれば、「どちらかといえば非民主的」と答えることになるでしょう。民主的ではない国の数、その国にすむ人口という、数の面でいえば、民主的ではない国が優位だからです。
以下は、この指数が0.4以下の「非民主的な国」の数と0.6以上の「民主的な国」の数の推移です。
図:自由民主主義指数0.4以下および0.6以上の国の数(1984~2021年)
国をまたいだ「モノ」「ヒト」「情報」「お金」の往来を活発化させることで、世界全体を豊かにしていくことを象徴するキーワードである「グローバル化」は、「自由」で「民主的」であることが、求められます。民主的なプロセスで作られたルールが、自由なモノの行き来を支え・拡大させるためです。
その意味では、自由民主主義指数が高く「民主的である国」の数は、「グローバル化」の進展とともに増加してしかるべきです。実際に、グローバル化が急速に進展した1990年(冷戦終結)以降、民主的な国の数は急激に増加しました。しかし、上図のとおり、2010年ごろから増加が止まり、2020年以降は減少してしまっています。
このため、図の下部に示したとおり、冷戦が終結した1990年前後を「グローバル化開始」として、民主的な国の数の増加が止まった2010年ごろを「グローバル化行き詰まり」、民主的な国の数が減少しはじめた2020年以降を「グローバル化混沌(こんとん)」と記しました。