欧米、中国などの懸念案件にも要注意

 日本株市場についても、今週はIPO(新規公開株)ラッシュとなり、主要な株価指数が方向感に欠く展開になった場合に、買いの「受け皿」となれるかどうかが注目されます。

 また、今週は3月最終週となります。リクツの上では権利落ち日となる30日(木)に配当落ちの分だけ株価が下落するため、ここが埋められるかどうかも、ポイントになりそうです。

 とはいえ、足元の相場環境を見渡すと、不透明感が強まっています。金融不安については、米国の中小金融機関からの預金流出の動きが続いているほか、スイス最大の銀行UBSが、クレディ・スイスを救済買収する案件で注目度が高まった「AT1」債をめぐる余波などが警戒材料としてくすぶっています。

 現時点では、金融機関の連鎖的な破綻など、パニック的な混乱となる可能性は低いものの、金融機関が保守的な態度を強めていくことが想定され、これにより実体経済に供給されるマネーが縮小して、景況感が一気に悪化してしまう可能性があり、油断はできません。

 そのほか、債務の再編案が発表された中国恒大集団の動向についても警戒が必要です。

 香港証券取引所経由で公表された資料のヘッドラインを見ると、債務の再編案以外にも、これまで「現金は不足しているが、資産は十分にある」と説明してきた同社が、実は債務超過に陥っていたことが判明したほか、1億元を超える訴訟を789件抱えているなど、かなり厳しい状況であることが明らかになっています。

 最近までの中国は、ゼロコロナ政策の撤廃以降、積極的な経済政策方針や、これまでの厳しい規制の緩和などを経て、順調に経済が回復しつつあるような報道が目立っていますが、実際にはあまりうまくいっていないのかもしれません。

 したがって、仮に目先の株価が上昇したとしても、そのはしごが外されるきっかけとなる不安要素は増えていると思われるため、株価上昇の賞味期限は思ったよりも短いものになるかもしれません。