2月の相場見通し

本格上昇はまだ先

 このように、1月の上昇は、FRBの利上げ幅縮小とテクニカルが好転したことによる悲観的なポジションの巻き戻しが主であったと考える。そういう意味ではここからさらに上値を追うには、利上げの打ち止め、利下げ観測といった材料が必要で、まだその時期ではないと考える。

 また、ショートポジションの巻き戻しはあっても、本格的に新規のポジションを取る投資家が殺到している状況には至っていない。なぜなら、FTX破綻から始まる信用不安が完全に払拭(ふっしょく)されたとはまだ言えないからだ。

 バハマに本社があるFTXに続き、香港に本社があるBitzlatoの(米国人でなく)ロシア人CEOが逮捕されたということは、暗号資産業者が米国人と商売している限り、本社がどこにあれど、米国の法律で積極的に裁く前例を作った形で、G20やFATF加盟国の規制下にないグローバルな交換所も事実上、米国の規制下に入ったとも解釈できる。

 これは業界にとって一歩前進と言えるが、逆にしばらくの間は、米当局による摘発がそうしたグローバルな業者に及ぶリスクを否定できなくなってしまった。

 このように、材料面では、上昇余地はありそうだが、2月はまだ早いと考える。

アノマリー的には強い

 一方でアノマリー的には2月は非常に強い月だ。さらに、今回前月比で38.8%となったが過去12年で前月比で35%以上上昇した27回のうち翌月下落に転じたのは8回と3割に満たない。

 最近では2017年12月→翌1月や2021年10月→翌11月など上昇相場がピークを付けた時に出やすい現象で、今回のようなボトムから大陽線が出た際は連続して陽線が出やすいと考えてよさそうだ。

2019年より2015年に近い

 従来よりBTCは半減期をベースに4年サイクルを描いていると申し上げてきたが、その考えが浸透してきたせいか、今回の上昇相場を2019年と似ていると指摘する声を聞く。

 2016年7月の半減期の際には、その1年半後の2017年12月にピークを付け、それから1年後の2018年12月に35万円でボトムを付けている。そして2019年4月に上昇を始め、5月ごろから本格的に上昇局面に入り、7月に150万円で小さなピークを付けた。

 今回も2020年5月の半減期の1年半後の2021年11月にピークを付け、それから1年後の2022年11月がボトムだった可能性が高く、ここまでの展開は前回サイクルに似ている。ただ、前回上昇を始めた2019年4月が今回2023年1月の反発にあたるとすると、本格上昇は3月、ピークは5月ごろとなり、まだ少し気が早い気がする。

(2016年半減期サイクル)2018年12月ボトムからのBTC/USD

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 もう一つ可能性があるのが2012年のパターンだ。この時は2012年11月の半減期の1年後の2013年11月にピークを迎えた。そこから約1年2カ月強経過した2015年1月に約150ドルでボトムを迎える。その後、じりじりと反発を開始するが、300ドル近辺で2度跳ね返され、3度目の正直で同年11月ごろに本格上昇に至った。

(2012年半減期サイクル)2015年1月ボトムからのBTC/USD

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 今年の場合は、FRBの利上げ幅縮小、利上げ打ち止め、利下げ観測浮上と、3段階で上昇していくイメージでおり、この2012年のサイクルをたどる可能性が高いと考えている。

結論

 まとめると、2月のBTC相場は上値は重いが、底堅い、高値圏でのもみ合い推移を予想する。まだ過熱感は感じられず、急落は無さそうだが、利上げ打ち止めまではもう少し時間があり、上値余地も限定的と思われる。