1月のビットコインイベント

NEW! 1月17日 香港拠点のBitzlatoのCEOを米当局が逮捕
NEW! 1月19日 ジェネシス・グローバル・ホールドコ、チャプター11申請

*2022年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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1月の振り返り

1月のビットコイン価格(円)とイベント

出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成

1月のBTC(ビットコイン)相場は大幅上昇

 2022年末をほぼ年間安値圏と総悲観の中で迎えたBTCだったが、1月10日にリストラが報じられたコインベース株が上昇したあたりから雰囲気が変わってきた。というのは年初に暗号資産と関係の深い銀行を運営するシルバーゲートがリストラを発表した際には同社株が4割も急落していたからだ。

 そうした暗号資産関連株の上昇に加えソラナやカルダノなどアルトコインにも物色買いが入り始めた。

暗号資産時価総額トップ10(除くステーブルコイン)の1月推移(1月1日=100)

BTC:ビットコイン ETH:イーサリアム BNB:バイナンスコイン XRP:リップル ADA:カルダノ DOGE:ドージコイン MATIC:ポリゴン SOL:ソラナ LTC:ライトコイン DOT:ポルカドット
出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

暗号資産関連株の1月推移(1月3日=100)

MARA:マラソン(マイナー) MSTR:マイクロストラテジー COIN:コインベース SI:シルバーゲート SBNY:シグネチャーバンク
出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 こうした中、米CPI(消費者物価指数)が前月から0.1%低下、FRB(米連邦準備制度理事会)高官から2月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅を25bpに縮小するとの見方が示されると、BTCは2万ドルも上抜け、数え方にもよるが1月4日から17日まで14日連続で陽線が続くという記録的な連騰相場を演じた。

 18日に米司法省が記者会見を開くと発表すると、大手業者への法執行が懸念されBTCは1,000ドル近く急落した。しかし、マネーロンダリングの疑いで香港ベースの小さな交換所のCEOが逮捕されたと判明すると、安心感から下落は一服。

 ジェネシス・グローバル・ホールドコが日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条申請を行ったが、破綻後も親会社DCG(デジタル・カレンシー・グループ:グレイスケールやコインデスクを子会社に持つ)主導で運営は継続、処理もスムーズに進むとの見方から、春節の連休でBTCが買われやすい時期であったことも手伝ってBTCは急上昇、2万4,000ドル近くまで上昇した。

1月の上昇要因

FRBの利上げ幅縮小観測

 2020年のコロナショック対策の無制限の金融緩和が、2021年のBTCのインフレヘッジブームを起こした。2021年11月からFRBが金融政策の正常化にかじを切ったことでBTCは下落を始め2022年11月にボトムを付けた。

 それが翌12月に75bpから50bpに利上げ幅を縮小し始めたことで下げ止まり、2月FOMCで50bpから25bpに縮小する見通しとなり、反発した。

 ただ、この縮小に対する上昇相場は既に一巡しており、金融政策関連でさらに上値を追うには、利上げ打ち止めや利下げ観測などもう一段の緩和が必要と考える。

BTC相場と金融政策

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

テクニカルの好転

 2021年12月に一目均衡表の雲の下限を割り込んで以降、BTC相場はおおむね雲の下で推移した。2021年11月から続く下降トレンドから脱却するには、少なくともこの雲の上に出ることが必要だった。

 ただ、最近では2度、この雲の上に出てはダマしに終わっていたが、今回は3役好転の買いサインが出てからさらに上昇を続け、トレンドを占う上で重要視されている200日移動平均線を上抜けた。

BTC/USD 一目均衡表と200日移動平均線

出典:TradingView

 このテクニカル的にトレンド転換を示す二つの大きな出来事で、市場参加者の目線が下から上に転換した。また、期先に行くほど安くなっていたCME(シカゴ先物取引所)の先物価格(先安:バックワーデーション)が、先高(コンタンゴ)に転じるなど、市場心理の回復を示す動きが見られ始めた。

BTC/USD CME先物 対現物・限月間スプレッド

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

ショートの買い戻し

 この結果、先物市場ではショートポジションを手じまう動きが見られ、相場を後押ししたものと思われる。CoinglassによればBTCが1万7,000ドルから2万1,000ドルに上昇した1月8日から14日の7日間に主要交換所の先物市場で12.4億ドルのショートが清算された。

 これは昨年11月のFTX破綻時にBTCが2万1,000ドルから1万6,000ドルに下落した11月6日から12日までの7日間に清算したロングポジション12.6億ドルとほぼ同額だった。今回の上昇が、FTX破綻から続く悲観的なポジションの巻き戻しであったことを物語る数字だ。

主な海外交換所の先物市場での清算金額

出典:Coinglass

信用不安の後退

 FTX破綻後に懸念された暗号資産業者の混乱も今のところ思ったほどひどい状況に陥っていないことも買い安心感につながったか。しかし、BTCはFTX破綻で下げた分を全戻ししたが、FTX破綻で生じた信用不安が収束したから戻った訳ではない。

 最後の貸し手である中央銀行制度がない暗号資産市場では信用不安が長引きやすく、特にFTXのようにカリブ海などに本拠を置き、G20やFATFが求める規制の対象外となっている交換業者の場合、どうなれば安心と言えるのか、なかなか難しい。

2月の相場見通し

本格上昇はまだ先

 このように、1月の上昇は、FRBの利上げ幅縮小とテクニカルが好転したことによる悲観的なポジションの巻き戻しが主であったと考える。そういう意味ではここからさらに上値を追うには、利上げの打ち止め、利下げ観測といった材料が必要で、まだその時期ではないと考える。

 また、ショートポジションの巻き戻しはあっても、本格的に新規のポジションを取る投資家が殺到している状況には至っていない。なぜなら、FTX破綻から始まる信用不安が完全に払拭(ふっしょく)されたとはまだ言えないからだ。

 バハマに本社があるFTXに続き、香港に本社があるBitzlatoの(米国人でなく)ロシア人CEOが逮捕されたということは、暗号資産業者が米国人と商売している限り、本社がどこにあれど、米国の法律で積極的に裁く前例を作った形で、G20やFATF加盟国の規制下にないグローバルな交換所も事実上、米国の規制下に入ったとも解釈できる。

 これは業界にとって一歩前進と言えるが、逆にしばらくの間は、米当局による摘発がそうしたグローバルな業者に及ぶリスクを否定できなくなってしまった。

 このように、材料面では、上昇余地はありそうだが、2月はまだ早いと考える。

アノマリー的には強い

 一方でアノマリー的には2月は非常に強い月だ。さらに、今回前月比で38.8%となったが過去12年で前月比で35%以上上昇した27回のうち翌月下落に転じたのは8回と3割に満たない。

 最近では2017年12月→翌1月や2021年10月→翌11月など上昇相場がピークを付けた時に出やすい現象で、今回のようなボトムから大陽線が出た際は連続して陽線が出やすいと考えてよさそうだ。

2019年より2015年に近い

 従来よりBTCは半減期をベースに4年サイクルを描いていると申し上げてきたが、その考えが浸透してきたせいか、今回の上昇相場を2019年と似ていると指摘する声を聞く。

 2016年7月の半減期の際には、その1年半後の2017年12月にピークを付け、それから1年後の2018年12月に35万円でボトムを付けている。そして2019年4月に上昇を始め、5月ごろから本格的に上昇局面に入り、7月に150万円で小さなピークを付けた。

 今回も2020年5月の半減期の1年半後の2021年11月にピークを付け、それから1年後の2022年11月がボトムだった可能性が高く、ここまでの展開は前回サイクルに似ている。ただ、前回上昇を始めた2019年4月が今回2023年1月の反発にあたるとすると、本格上昇は3月、ピークは5月ごろとなり、まだ少し気が早い気がする。

(2016年半減期サイクル)2018年12月ボトムからのBTC/USD

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 もう一つ可能性があるのが2012年のパターンだ。この時は2012年11月の半減期の1年後の2013年11月にピークを迎えた。そこから約1年2カ月強経過した2015年1月に約150ドルでボトムを迎える。その後、じりじりと反発を開始するが、300ドル近辺で2度跳ね返され、3度目の正直で同年11月ごろに本格上昇に至った。

(2012年半減期サイクル)2015年1月ボトムからのBTC/USD

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 今年の場合は、FRBの利上げ幅縮小、利上げ打ち止め、利下げ観測浮上と、3段階で上昇していくイメージでおり、この2012年のサイクルをたどる可能性が高いと考えている。

結論

 まとめると、2月のBTC相場は上値は重いが、底堅い、高値圏でのもみ合い推移を予想する。まだ過熱感は感じられず、急落は無さそうだが、利上げ打ち止めまではもう少し時間があり、上値余地も限定的と思われる。

2022年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)

12月19日 イーロン・マスク氏、Twitter CEO辞任の可能性
12月16日 Mazars、Binanceなど暗号資産関連の監査を停止
12月12日 FTX前CEO、サム・バンクマン・フリード氏、バハマで逮捕
11月28日 BlockFi、チャプター11申請
11月11日 FTX、チャプター11申請
11月9日 Binance、FTX買収合意も翌日撤回
11月7日 Binance CZ氏、FTT売却予告
10月19日 リブラの流れをくむAptos取引開始
10月4日 イーロン・マスク氏、Twitter社買収再開
9月21日 ソシエテ・ジェネラル、BTCカストディ参入
9月15日 イーサリアム「マージ」無事通過
9月12日 フィデリティ、BTCリテール参入
8月24日 イーサリアム「マージ」正式決定、9月15日に決まる
8月12日 ミキシングサービス・トルネードキャッシュ開発者、蘭当局が逮捕
8月11日 BlackRock、BTC私募投信提供開始
8月2日 MicroStrategy、マイケル・セイラーCEO退任、会長に
7月20日 テスラ社、保有ビットコインの3/4を売却済
7月14日 レンディング大手Celsius Network、破産申請
イーサリアム、アップデート「マージ」予定日9月19日に決まる
7月6日 取引アプリVoyager Digital、破産申請
7月1日 交換所大手FTX、レンディング大手BlockFi救済で合意
ヘッジファンドThree Arrows Capital、破産申請
6月21日 FTXがBlockFiを救済、融資枠を設定へ
6月13日 テラ問題の余波でセルシウス入出金停止、Three Arrows Capitalも経営危機
6月10日 米CPI予想上回る。インフレ早期ピークアウトシナリオが後退
6月7日 政府、骨太の方針に暗号資産。Web3が国家戦略に
5月24日 三井住友トラスト、年内に暗号資産カストディ提供
5月13日 野村證券、シンガポールで暗号資産デリバティブ提供開始
5月12日 テラ不安がテザー(USDT)に飛び火、一時94セントに下落
5月9日 テラUSD(UST)、ドルとのペッグが崩れ始め、テラ(LUNA)も暴落
4月27日 中央アフリカ、ビットコインを法定通貨に採用
4月19日 オーストラリアで初のビットコイン・イーサリアムETFが承認
4月6~9日 Bitcoin2022がマイアミで開催。昨年はエルサルバドルのBTC法定通貨化が発表されたが、今年はやや期待外れの声も
4月4日 ウクライナへの仮想通貨で集まった寄付金、約123億円を超える
3月29日 Axie InfinityのRonin Networkで大規模ハッキング
3月22日 世界最大のヘッジファンド「Bridgewater Associates」、暗号資産ファンドに投資開始か
3月17日 FOMC、0.25%利上げ発表でビットコイン上昇
2月28日 米、ロシア中央銀行の資産を凍結。ルーブル安からBTCに逃避フロー
2月27日  米欧、ロシアをSWIFTから排除
2月25日 ウラジーミル・プーチン大統領、軍事攻撃を命令
2月20日 北京五輪閉幕
2月17日 米大統領、ロシアが数日中にウクライナ侵攻    
2月12日 **BlockFi、SECと1億ドルで和解。米国内でのレンディングサービス困難に
2月4日 北京五輪開幕。当面、軍事衝突が控えられるという見方でBTC上昇
1月20日 ロシア中銀が暗号資産の*マイニングと流通の禁止を提案

*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。

**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。

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