全国31の地域が2023年の経済成長率目標を発表。平均は6%増

 一つの注目点は、コロナ禍前の状態に戻るべくあらゆる制限が緩和、解除していく中で、経済活動がどれだけ正常化するかでしょう。中国政府が2023年の経済にどれだけの掌握と自信を有しているかを知る上で最も重要な舞台となるのが、約1カ月後に開幕する全国人民代表大会(全人代)。李克強(リー・カーチャン)氏が国務院総理として発表する最後の「政府活動報告」で、今年の成長率目標が公式に発表される予定です。

 一方、全国各地の地方自治体からは続々と目標が発表され、2月1日時点で、31全地域の目標が発表されました。GDP(国内総生産)の規模が大きい順に、広東省、江蘇省、山東省、浙江省、河南省はそれぞれ5%以上(昨年は1.9%)、5%前後(2.8%)、5%以上(3.9%)、5%以上(3.1%)、6%(3.1%)といずれも5%を超える目標を設定しています。

 また、昨年2カ月以上のロックダウン(都市封鎖)による打撃から0.2%減とマイナス成長に終わった上海市は5.5%以上、0.7%増と低迷した北京市は4.5%以上に設定。目標を最高に設定したのは「自由貿易港」としての繁栄を目指す海南省で9.5%以上(昨年は0.2%)、チベット自治区が8%前後(同1.1%)で続いています。

 私は1月12日に配信したレポートで、2023年、中国全体としての成長率目標は「5%以上」あたりに設定されるのではないかという予測を示しました。すでに発表された31地域の目標を足して31で割った数値は5.95%増。

 ただ、過去の経験値から、中央政府が国として発表する目標値は往々にしてそれよりも低く設定される傾向があります。従って、1カ月後に李首相が発表する目標値の目安は5%程度になるのではというのが依然私の予測です。

 国家統計局が1月31日に発表した1月のPMI(製造業購買担当者指数)は50.1、建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは54.4で、昨年12月の47.0、41.6からそれぞれ大幅に改善しています。この結果に対し、同局は「景気が著しく上向いている」としつつ、「市場の需要が不足している製造業、サービス業関連の企業はまだまだ少なくない。需要不足が引き続き企業の生産、経営が直面する最大の問題」と現状に満足はしていないようです。