国境のリオープンは何をもたらすか

 2023年の中国経済を見ていく上で、私が一つ注目しているのが国境のリオープンが国民の生活や将来への期待値にどう影響していくかです。実際、春節休みにおいて、出入国の動きはこれまでに比べて大分活発になったようです。

 国家移民管理局が1月28日に発表した統計によれば、1月21~27日、同局が把握する出入国人数はのべ287万7,000人(入国143万4,000人、出国144万3,000人)で、昨年の春節休みと比べて約2.2倍に増加しています。とりわけ、中国本土の住民が香港とマカオへ赴く比率が高く、マカオへは延べ49万8,000人、香港へは延べ10万4,000人が赴き、出国者全体の81.2%を占めました。

 今後は海外旅行者も増えていく見込みです。中国政府はこのほど、2月6日を境に、中国の旅行代理店が「ホテル+航空券」の団体旅行サービスを再開することを許可しました。対象となる国は、タイ、インドネシア、カンボジア、モルジブ、スリランカ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ラオス、アラブ首長国連邦、エジプト、ケニア、南アフリカ、ロシア、スイス、ハンガリー、ニュージーランド、フィジー、キューバ、アルゼンチンの20カ国です。試験的措置と位置付けられているため、今後増えていくでしょう。東南アジアや多いこと、ウクライナと戦争をしているロシアが含まれていることが特筆に値します。

 1月29日、中国政府は1月10日から停止していた中国を訪れる日本人へのビザの発給を再開しました。コロナの感染拡大が収まっていけば、日本人の中国訪問も増えていくでしょうし、これからどれだけの中国人観光客が日本にやって来るかも、インバウンド産業の活性化という意味でも注目です。香港、台湾、韓国、欧米からはすでに観光客が戻り始めている印象を私自身抱いていますが、ここに中国本土からの訪問者が加われば、また騒がしくなっていくのでしょう。

 今年、平和友好条約締結45周年を迎える日中関係の動向という視点においても、人の流れという要素は極めて重要だと思います。