先週の米国市場をチェック

(図2)米NYダウ(日足)とMACDの動き (2023年1月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末1月6日(金)のNYダウ(ダウ工業株30種平均)終値は3万3,630ドルとなりました。

 この日は前日比で700ドルを超える大幅高だっただけでなく、ローソク足の形も大きい陽線で、50日と25日の移動平均線をまたいで上抜ける「2本抜き」となっており、上値をトライしやすい格好になっています。

 上の図2を見ても分かるように、最近までのNYダウは200日移動平均線をサポートにして、3万3,000ドルの節目や50日移動平均線の攻防が続くもみ合いとなっていたほか、昨年4月と8月の高値同士を結ぶ上値ラインもサポートとなっていました。

 6日(金)の株価上昇はこうした我慢が報われつつあるようにも見えます。

 株価上昇のきっかけとなった米12月雇用統計の内容を簡単にまとめると、非農業部門雇用者数は予想よりも強かったものの、前回からは鈍化したほか、平均時給の伸びについても前回や予想を下回る結果でした。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレの要因を、原材料などの「モノ」の価格、家賃などの「住宅関連」価格、賃金などの「サービス」価格に分けて捉えていますが、今回の米雇用統計の結果を受けて、市場では「インフレの減速がモノの価格から住宅価格、そしてサービス価格へと拡大しつつあり、金融引き締めのペースが鈍化するのでは?」という見方が高まったと考えられます。

 また、今回の米雇用統計と同日に公表された米12月ISM非製造業景況感指数が、景気の分岐点とされる50を下回る結果となり、景況感が悪化したことも、金融引き締めペースの鈍化観測を強めることにつながったようです。

 さらに、今週1月12日(木)に予定されている米12月CPI(消費者物価指数)でも、インフレの鈍化を示す結果となれば、さらなる株価の上昇が期待できるかもしれません。

 その場合、NYダウは、節目の3万4,000ドルや、直近高値(12月13日の3万4,712ドル)のトライなど、上昇の勢いに弾みがつく展開が想定されそうです。