「まし」な利上げが複数経路で上昇圧力をかける
2023年については、以下のようなサイクルが発生する可能性があると、考えています。最悪よりも「まし」な状況が、複数経路でプラチナ相場を支える展開です。
図:2023年のプラチナ市場を取り巻く環境(筆者予想)
市場は「事前予想よりも弱い」米国のCPI(消費者物価指数)と、「3倍速(0.75%)よりも小さい」利上げを、「まし」(最悪を回避できた)と受け止め、好材料と解釈する節があります。このため、こうした「まし」は、「緩やかな」需要増加期待を膨らませる一因になり得ます。
「まし」な利上げが引き起こす「ドル安」は、貴金属のリーダー格である金(ゴールド)相場を上昇させて、プラチナなどの他の貴金属銘柄の価格をけん引したり、他通貨建て商品に対するドル建て商品の割安感を醸成したりすることに、つながります。
「緩やかな需要増加期待」は、株価を上昇させたりリスクオンのムードを醸成したりして、産業用や宝飾用の貴金属需要を回復させる要因になり得ます。
また、前回のレポートの「図:2023年12月13日のFOMCを想定した先物市場のFF金利見通し(2022年12月9日時点)」で示したように、2023年末に利上げの温度感の低下が目立つ展開になれば、上図のサイクルが加速する可能性もあります。