自動車排ガス浄化装置向け需要は回復傾向にある

 フォルクスワーゲン問題が発覚したことで急減すると目された、プラチナの自動車排ガス浄化装置向けの需要ですが、実際のところ、以下のグラフのとおり、急減はしていません(青線参照)。

 コロナショックの際はやや大きめに減少したものの、2021年は回復。2022年も回復傾向が続くことが見通されています。それにより、2022年の同需要は、フォルクスワーゲン問題発覚時点(2015年)の水準とほとんど同じになります。

図:自動車排ガス浄化装置向け主要PGM需要 単位:トン

出所:Johnson Mattheyの資料をもとに筆者作成

 このグラフより、データが示す実態よりも、わかりやすい「イメージ」が優先されたかが、うかがえます。

 同問題発覚以降、ディーゼル車の生産台数が減少しているデータが散見されていたのも事実ですが、こうした環境の中でなぜ、プラチナの同需要は目立った減少を演じなかったのでしょうか。