FXの利益の税務上の取り扱いは?

 もう一つ、外貨預金と似たものにFXがあります。例えば1ドル=115円の時に2万ドルのドル買いを行い、1ドル=135円の時に決済した場合、(135円-115円)×2万ドル=40万円の利益となります。

 このFXにより生じた利益は、実態は為替差益ですが、外貨預金のように総合課税の雑所得として扱われるのではなく、外貨建てMMFのように分離課税の譲渡所得として扱われるのでもありません。

 FXの利益は、分離課税の雑所得として、所得税・住民税合わせて20.315%の税率で課税されることとなっています。

 この分離課税の雑所得のカテゴリーには、先物、オプション、CFDといったものが含まれます。

 ですから、FXで利益が生じ、先物やオプションなどで損失が生じた場合は損益通算することができますし、前年以前から繰り越してきた損失がある場合、それとFXの利益を損益通算することもできます。

米国株の為替差益の扱いは?

 最後に、米国株の場合はどうでしょうか?

 保有していた米国株を売却した場合、その中には米国株そのものの株価変動による損益と、為替変動による損益が混ざっていることになります。

 しかし、税金計算上、株価変動による損益と為替変動による損益を区分することなく、合算して「分離課税の譲渡所得」となります。上述の外貨建てMMFと同じカテゴリーです。

 例えば、1ドル=100円のとき、米国株(A社)を1株10ドルで1,000株買ったとします。その後A社の株価が9ドルまで下がったので、1,000株全部売却しました。この時の為替レートは1ドル=140円でした。

 この時の利益は(9ドル×1,000株×140円)-(10ドル×1,000株×100円)=26万円になります。この中には、為替差益と、ドルベースの株の売却損が含まれていて、利益の実質は全て為替差益です。

 それでも税務上の扱いは、外貨預金のような総合課税の雑所得にはならず、分離課税の譲渡所得となるのです。

 このように、同じ為替差益でも、外貨預金と外貨建てMMF、そしてFXとで税務上の取り扱いが異なります。

 もし給与所得など他の所得が多い方であれば、外貨預金より外貨建てMMFやFXで利益を得た方が、税額を抑えることができる可能性が高いと思います。

 税負担の多寡のことも考えた上で、何に投資するかを決めることも重要です。