バブル発生は、防げない。終わりもわからない

「バブルについて、もう一つ、しっかりと覚えておく必要があるのは、バブルは必ず崩壊することです。そして、それがいつかは事前にはわかりません」

「必ず、ですか?」
「ええ、必ずです。暴騰があれば暴落もあるのが相場の特徴です。オランダのチューリップバブルや1930年代のアメリカの大恐慌、そして直近のリーマンショックもすべてある日突然バブルがはじけて暴落が始まっています。だから暴落に備える必要があります」

「ある日、突然ですか? でも、それがいつか分からないなら、備えようがないじゃないですか。先生なら、予測できるんですか?」
「できません。私は神ではありません。ただ、理屈も歴史も学んできましたから、可能性を察知して警戒して、行動することはできます」

「先生でも、可能性だけですか」
 隆一が、小さな声で呟くと、それを聞き逃さず、先生が続けた。

「でも、可能性を頭に入れて、警戒して行動するのと、そうでないのとでは、リターンに大きな違いが生まれますよ」
「リターンにですか」

 <リターン>という言葉につい反応してしまう、隆一の素直なところを、先生は好ましく感じ、コーヒーにひと口つけて、話を続けた。

「さて。企業の実力を離れて上昇した株価は、いつかは調整されて実力に近づきます。需給面でも、高騰した株が、何かのきっかけで、株を売ろうとする人が増えて下落を始めると、今度は上昇期に誰もが買おうとしたのと同じで、誰もが売ろうとします。人は、皆、自分だけは利益を確定しておこう、自分だけは損を抱えたくない、と動きますから」

「なるほど。バブルで暴騰したり、暴落したりしても、長い目で見れば、結局、株価は企業の実力程度に収まっていくということですね。」

「そういうことです。今日は、バブルを中心に相場の基本を話しました。まとめると、

第一に、モノの値段はその価値とはかけ離れることがある
第二に、相場は実需だけでなく期待でも上下する
第三に、投機の対象となると暴騰と暴落が起こりやすい
第四に、資本主義ではバブルは付き物、特に、カネ余りの時期はバブルが起きやすい
第五に、バブルは必ず崩壊して相場は暴落するが、それがいつかは事前にはわからない

ということです。投資をしている間にいくつものバブルを乗り越えなければ長期投資でリターンを得ることはできません。次回はどうしたらこのバブルを上手に乗り越えることができるのかを話しましょう」

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