香港ハンセン指数が歴史的な安値!リバウンドは大きくなると予想

 現在の香港ハンセン指数が歴史的な安値である以上、ここからのリバウンドは大きくなると予想されるので、ぜひともこのチャンスは逃したくないところです。

 今回の注目銘柄は以下の通りです。リバウンド過程で注目すべき銘柄をピックアップしました。

注1.市場コンセンサスは11月25日現在
注2.テンセント、SMICの直近の業績動向については、足元の状況が知りたいため、四半期ベース(7-9月期)のデータを示した

注目株1:香港証券取引所(00388)

 香港証券取引所、決済機関を運営する組織です。2012年にはLME(ロンドン金属取引所)を買収しており、決済を含め、そちらの経営も行っています。

 収益構造(営業収益の内訳、2022年1-9月期)をみると、取引やシステム利用から得られる収入が39%、決済サービスなどから得られる収入が25%、上場サービスによって得られる収入が11%、保管、委託管理、代理サービスなどによって得られる収入が8%、市場データの提供によって得られる収入が6%、その他が11%です。

 市場別ではLMEでの商品取引による収入は営業収益全体の8%にとどまっており、業績は香港証券取引所の運営に大きく依存する形となっています。

 2022年1-9月期業績は18%減収、28%減益となりました。香港証券取引所の1日当たりの平均株式売買代金は33%減、派生商品の売買代金は19%減となるなど、商いの低迷により大幅減益となりました。

 2022年12月期業績の市場コンセンサスは8%減収、22%減益、2023年12月期は16%増収、23%増収です。

 同社の業績は香港市場の相場付きに大きく依存します。この1-9月期の株式売買代金が過去最悪の伸び率(減少率)となった反動は大きいと予想します。また、長期的な成長要因として、本土とのストックコネクトの規制緩和や、ETF(上場投資信託)商品をはじめとした新商品の開発などに注目しています。

香港証券取引所の月足

期間:過去5年(2017年11月25日~2022年11月25日)
出所:楽天証券ウェブサイト

注目株2:中信証券(06030)

 1979年の設立以来、改革開放、現代化建設において大きな役割を果たしてきた中央系国有企業である中国中信集団傘下の証券会社です。総資産、純資産といった規模においても、売上高、純利益といった収益においても、中国最大の証券会社です(2021年12月期決算データで比較、中国証券業協会資料より)。

 もう少し細かいデータを示しておくと、顧客預かり資産、委託管理資産、ブローカレッジ収入、投資銀行業務収入、引受業務収入でもトップです。

 2022年1-9月期は14%減収、6%減益でした。投資銀行業務は前年同期比11%増と健闘したのですが、相場低迷の影響は大きく、主力のブローカレッジ、資産管理業務がそれぞれ前年割れとなり、収益を圧迫しました。

 2022年12月期業績の市場コンセンサスは22%減収、利益は横ばい、2023年12月期は15%増収、19%増益です。

 名実ともに国内トップの証券会社で、本土市場の相場好転で恩恵を受ける銘柄の代表格です。

中信証券の月足

期間:過去5年(2017年11月25日~2022年11月25日)
出所:楽天証券ウェブサイト

注目株3:テンセント(00700)

 中国を代表するインターネット・メディア・サービス企業です。ネットゲームのほか、コミュニケーションアプリ(微信、QQ)や、音楽、映像、ニュースなどを提供するSNSなどをプラットフォームとして各種サービスを展開しています。

 部門別売上高(2022年7-9月期)では海外ネットゲームが8%、国内ネットゲームが22%、ネット映像、ライブ配信、音楽などのデジタルコンテンツ、ゲーム用AR機器が21%、オンライン広告が15%、コード支払(微信支付)による決済、金融サービス、クラウド業務などが32%、その他が2%です。

 粗利益ベースではゲーム、デジタルコンテンツなどが61%、オンライン広告が16%、決済、金融、クラウドなどが24%、その他が▲1%です。

 2022年7-9月期業績は2%減収、1%増益でした。微信(海外向けWeChatを含む)の月ベースの平均アクティブユーザー数は3.7%増の13億890万人で増勢を維持しています。決済、金融、クラウドなどは4%増収と堅調でしたが、国内ネットゲームが7%減収、オンライン広告が5%減収と不振でした。なお、2022年1-9月期業績は2%減収、37%減益でした。

 2022年12月期業績の市場コンセンサスは売上高は横ばい、49%減益、2023年12月期は11%増収、19%増益です。

 香港市場は欧米機関投資家の売買ウエートの高い市場です。流動性が高まる局面では香港市場を代表するテンセントのような銘柄に資金が流入すると予想します。本業については、ゲームの成長力が落ちている点が気がかりですが、13億人ものアクティブユーザーを獲得している国民的アプリ「微信」の持つ強みは健在です。

テンセントの月足

期間:過去5年(2017年11月25日~2022年11月25日)
出所:楽天証券ウェブサイト

注目株4:SMIC(00981)

 中国最大、世界有数の半導体ファウンドリで、台湾系経営者が中国側の要請を受けて設立した民営企業です。

 地域別(2022年7-9月期)では北米が20%、中国、香港が70%、欧州・その他アジアが10%。半導体ウエハーの売上高は93%で、その用途別内訳はスマートフォンが26%、デジタルテレビ、ルーター、Wi-Fiを必要とするスマート家電、コンシューマーエレクトロニクス製品などが38%、その他が36%です。

 2022年7-9月期業績は35%増収、47%増益でした。表面上は好業績ですが、この1年で設備の増強を進めている点、4-6月期との比較では売上高は横ばい、利益面では9%ほど減益となっている点などを考慮すると、必ずしも好業績と評価するわけにはいきません。また、7-9月期の設備稼働率は92.1%で、前年同期の100.3%、4-6月期の97.1%と比べると落ちています。

 2022年12月期業績の市場コンセンサスは35%増収、10%増益、2023年12月期売上高は横ばい、25%減益です。

 欧米を中心にグローバル経済の見通しの悪さ、足元でのスマホやスマート家電類の需要の弱含みに加え、対中国企業を対象とした米国による半導体輸出規制の影響がどの程度になるのか不透明であることなど、懸念材料があります。

 しかし、株価はそれを織り込んで低位な水準にとどまっています。評価したい点は、米国による対中強硬策が加速すればするほど、当局による半導体産業への支持は強化されるだろうという点です。また、テンセントと同様、流動性が高まる局面では資金が流入しやすいと予想します。

SMICの月足

期間:過去5年(2017年11月25日~2022年11月25日)
出所:楽天証券ウェブサイト

注目株5:iシェアーズ・FTSE・チャイナ・A50(02823)

 ブラックロック社が運用するFTSE中国A50指数に連動することを目的としたETFです。

 FTSE中国A50指数は上海、深セン証券取引所に上場する時価総額上位50社から構成される指数で、貴州茅台酒(600519)中国工商銀行(01398)中国農業銀行(01288)ペトロチャイナ(601857)中国人寿保険(601628)といった中国本土A株の中でも大型株の株価の動きに連動する指数です。

 本土A株市場が現在、底値水準にあるとの予想を前提にすれば、比較的リスクを抑えて本土A株への投資ができる点に注目しています。

iシェアーズ・FTSE・チャイナ・A50の月足

期間:過去5年(2017年11月25日~2022年11月25日)
出所:楽天証券ウェブサイト