「ブラック・フライデー」視野に、米国株の上昇具合を要チェック

■(図7)米NYダウ(日足)とMACDの動き (2022年11月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末18日(金)の米NYダウ(ダウ工業株30種平均)の終値は3万3,745ドルでした。前週末終値が3万3,747ドルでしたので、2ドル安と週足ベースではほぼ横ばいだったことになります。

 上の図7を見ても、節目の3万4,000ドル台に乗せることができず、もみ合いが続いていたことがわかりますし、下段のMACDを見ても、前回高値(8月16日)時の値を上回っている中で、シグナルとの下抜けクロスも出現しそうな感じですので、上昇が一服しそうな印象があります。

 そのため、普通に考えれば、いったん売りに押されて3万3,000ドルの株価水準や、200日移動平均線あたりがサポートとして機能するかどうかを試しにいっても良さそうなのですが、先ほどの図1の日経平均と同様に、上にも下にも株価の揺らぎが少ない値動きとなっています。

 堅調といえばそうなのですが、それがかえって目先の展開を読みにくくしています。

 結果的に先週の日米の株式市場はともに方向感の出ない推移が目立ちましたが、先週公表された米10月PPI(卸売物価指数)が、先日の米10月CPI(消費者物価指数)に続いてインフレのピークアウト感を示したことや、米小売大手のウォルマートの決算内容が好感されたことなどが追い風となりました。

 一方、株価急騰による反動売りをはじめ、FRB(米連邦準備制度理事会)要人によるタカ派のけん制発言、暗号資産交換所大手のFTXの破産申請、ポーランドに着弾したロシア製ミサイルをめぐる地政学的な緊張の高まりなどのネガティブ材料も多く、全体的に売りが優勢になってもおかしくなかったことを踏まえれば、足元の相場は「打たれ強さ」を見せているともいえます。

 確かに、「株価は不安の崖を駆け上がる」という相場格言が表しているように、多少の不安要素があるぐらいの方がちょうど良いのかもしれませんし、この時期の株式市場は上昇しやすいというアノマリー(経験則)もあります。

 とはいえ、FTXの破綻申請や地政学的な材料については、リスクというよりも不確実性の面が強いほか、FRB要人のタカ派発言に市場が聞く耳を持たなくなりつつあるなど、市場がネガティブ材料に対して少し鈍感になっているかもしれないことは想定しておく必要がありそうです。

 FTXの破綻申請や地政学的な材料については、リスクというよりも不確実性の面が強く、今後の動向次第では無視できない売り要因となる可能性があります。

 さらに、初期反応で好感されたウォルマート決算についても、生活必需品の販売増が他の商品の売上減少を補ったことや、これまで同店舗に足を運ばなかった高所得層の購買が増えていたことなどが背景にあり、「収益は確保したが消費意欲が減退している」兆候も見られています。

 今週末の25日(金)には米国の一大商戦となる「ブラック・フライデー」を迎えるタイミングでもありますので、今週は様子見が基本スタンスとなる中、相場の「打たれ強さ」がさらなる上昇へとつながるのかを見極めていくことになりそうです。