パーフェクト・オーダー、過去の3ケースを分析

 実際に、過去のパーフェクト・オーダーの状況を見ると、達成後に株価の上昇が強くなるケースは結構あります。

■(図2)日経平均(日足)の動き 過去のパーフェクト・オーダー その1(2020年8月)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 最初のケースは、コロナショック後の2020年8月にみられた動きです。

 上の図2を見ても分かるように、2020年3月に底打ちした株価はその後戻り基調を描いていきましたが、同年の8月後半にパーフェクト・オーダーを達成し、コロナショック前の高値水準だった2万4,000円台の節目を超えてからは、先ほど紹介した上値ライン超えをきっかけに、2021年2月16日の高値まで、段階的に上昇が加速していきました。

■(図3)日経平均(日足)の動き 過去のパーフェクト・オーダー その2(2019年9月)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 続いてのケースは、図2で見てきたコロナショック前の2019年9月に見られた動きです。

 こちらも2019年9月下旬にパーフェクト・オーダーを達成し、節目の2万2,000円を上抜けてから同年12月につけた2万4,000円台まで上値を伸ばしていきました。

■(図4)日経平均(日足)の動き 過去のパーフェクト・オーダー その3(2016年10月)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成)

 三つ目のケースは、2015年夏場からのチャイナショックや、翌年6月のブレグジット後の2016年10月に見られた動きです。

 こちらも図2と同様に、時間をかけてパーフェクト・オーダーを達成していますが、2016年2月と6月の安値による「ダブル・ボトム」のネックラインを超えてから上昇に弾みがつきました。

 この図4のチャートでは表示できていませんが、この後も2018年1月の2万4,000円台まで株価の上昇基調が続いています。

 このように、パーフェクト・オーダーを達成した後の株価は上昇が続きやすい傾向があります。また、今回は3つのケースを紹介しましたが、これらを週足チャートにまとめたのが次の図5になります。

■(図5)日経平均(週足)の動きとMACD(2022年11月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 MACDが底打ちしてから0円ラインに差し掛かったところでパーフェクト・オーダーが達成されることが多いなど、図から読み取れる情報はいろいろあるのですが、ここで注目したいのは、「株価がどこまで上昇したか?」になります。

 そのポイントは、下落前の株価水準を超えて一段高となったケースとそうでないケースです。

 2016年10月のケースでは、2015年夏場の高値圏である2万1,000円台を超えて2万4,000円台まで値を伸ばしましたが、その後はこの2万4,000円が上値の抵抗となり、2019年9月のケースではこの株価水準で上昇が止まっています。

 2020年8月のケースでは、もたつく場面があったものの、2万4,000円台を突破し、2021年2月の3万円台乗せまで上昇しましたが、その後につけた同年9月の高値はこの水準を上抜けしきれておらず、今後の上値の抵抗として機能することが考えられます。3万円台から上放れするには、新たな買い材料や強いモチベーションが必要になってくると思われます。

 そのため、今後の株価が上昇基調を強めた場合でも、これまでの戻り高値を意識しながらの展開をいったん想定しておくのが良さそうです。

■(図6)日経平均(日足)の主な高値と安値(2022年11月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 もちろん、今週の値動きによっては、これまで説明してきたパーフェクト・オーダー自体が達成されず、売りに押される展開もあり得ますので、最後に株高意識の「脆さ」について、米国株市場の動きから探っていきたいと思います。