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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
米国株反発、利上げピッチ緩む期待 どうなる日経平均?​

米利上げピッチ緩む?思惑で米国株反発

 先週の日経平均株価は1週間で200円下がり2万6,890円となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)による急激な金融引き締めが続く不安から、上値が抑えられています。

 ただし、先週は米国株が週末にかけて急反発しました。先週は、ナスダック総合指数(ナスダック)が1週間で5.2%、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が4.9%上昇しました。12月くらいから、FRBが利上げのピッチを緩めるという思惑が出ていることによります。

ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年10月21日

出所:QUICKより作成、2019年末を100として指数化

 米国株は、米景気ハードランディング不安と米景気ソフトランディング期待【注】のせめぎ合いで乱高下しており、その影響を受けながら、日経平均も動いています。

【注】米景気ハードランディング・ソフトランディング
◆ハードランディング・シナリオ:米景気減速が鮮明になっても高水準のインフレが続く。FRBは景気犠牲をかえりみずにインフレ抑制を目指して引き締めを続ける。インフレと金利上昇を受けて、米景気がリセッション(景気後退)入りする。世界的な景気後退期に入る。
◆ソフトランディング・シナリオ:米景気が堅調なうちに、インフレが沈静化に向かい、米利上げ停止が視野に入る。米景気はリセッション入りすることなく持ち直す。

 米景気は製造業中心に減速が鮮明になりつつあるものの、まだサービス産業中心にしぶとく堅調です。米景気がしぶとく堅調なうちにインフレが沈静化すれば、ソフトランディング期待が高まるところです。ところが、足元はサービス価格の上昇が続きインフレ沈静化のメドがたたず、ハードランディングの不安が意識されています。

 11月にFRBが0.75%の大幅利上げを続けることはほぼ確実と見られています。ただし、12月以降には利上げのピッチが緩む期待が出ていて、それが先週の米国株反発につながりました。

米インフレ率(CPI総合指数・コア指数前年比上昇率)推移:2020年1月~2022年9月

出所:米労働省