積立投資している投資信託が、売り切れになったら?

 では、自分が保有する投資信託の人気が出て「売り切れ」状態となった場合、どうしたらよいのでしょうか。

 先に解説したような、適正な運用資産規模を維持するための販売停止であれば、大きな心配は必要ないでしょう。

 というのも、販売停止措置が取られても、換金(解約)は通常通りに行えることが多いためです。この場合、ご自身のお金が「凍結」されるようなことは基本的にありません。また、解約によって残高が自然に減少し、適正な運用資産規模に戻ると、販売も再開されます。

 ただし、冒頭で触れた、「投資対象地域で非常事態が発生した場合」においてはこの限りではありません。例えば、ウクライナ侵攻を巡って世界各国から経済制裁を受けたロシアは、株式市場の機能が事実上停止し、日本で展開されているロシア関連の投資信託にも影響が及びました。この場合、そもそも市場が正常に機能しておらず、基準価額すら算出できないため、投資信託の解約も制限され、資金が事実上「凍結」された状態となります。

 こうした、流動性の極端な低下に伴う販売停止は、人気が出て「売り切れ」の状態になるのとは根本的に性質が異なります。
(詳しくは「ロシア投信、解約停止はなぜ?目に見えないリスクに注意」をご参照。)

 なお、積み立ての取り扱いについては、個々のファンドや運用会社によって対応が分かれます。

 先述の「企業価値成長小型株ファンド」を含め、既に設定している積み立てについてはそのまま継続(積立購入)できることが多いですが、ごくまれに積み立てによる買い付けも停止されることがあります。

 以上、まとめると、短期間のうちにファンドの人気が出て「売り切れ」の状態になったとしても過度に心配することはありません。ただし、まれに積み立ても停止されることがあるため、運用会社が投資家向けのお知らせ(レター)を公表した場合は、その内容を必ず確認するようにしましょう。