投資信託の使い勝手のよさが人気!でも売り切れることも?

 運用会社が投資信託の新規の購入受付を停止する「やむを得ない事情」の典型例は、「資金流入の急増」です。

 つまり、人気が出て売れすぎてしまった結果、残高が増え、適切な資産規模での運用が維持できなくなる恐れがあるときに販売を停止します。

 少し前の話になりますが、ファンド(投資信託)の運用会社アセットマネジメントOneは2021年9月2日から2022年1月末までの約5カ月間、同社が運用する「企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)」の新規買い付け申し込みを停止しました。(ただし、既に設定済みの積み立てについては、そのまま買い付けの申し込みを受け付けました。)

 同ファンドに限らず、一般的に時価総額が小さく、流動性の低い中小型株式などを投資対象とする投資信託は、投資信託の規模の上限である「信託金限度額」が小さく設定されています。

 この信託金限度額は、投資信託が主に投資する投資対象や運用手法などを考慮し、投資信託ごとに約款で定められています。大きいものだと1兆円単位、小さいものだと百億円程度に設定されており、ファンドによって開きがあります。

 運用会社はファンドの純資産残高が信託金限度額に近付くと、販売を一時的に停止したり、反対に限度額を引き上げたりという措置を取ります。

 限度額を大きくしても運用に支障がないと運用会社が判断した場合は、数兆円単位まで引き上げることもあります。

 例えば、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」を運用するアライアンス・バーンスタインは、2021年3月から2022年3月までの1年間で、同ファンドの信託金限度額を3回引き上げました。限度額は当初1兆円でしたが、現在は2兆5,000億円です。