ロシア投信、解約停止
ロシアによるウクライナ侵攻は、世界の金融市場にさまざまな形で混乱をもたらしています。投資信託への直接的な影響としては、ロシアの株式や債券、通貨を投資対象に含む投資信託の多くが、積み立てを含む新規の買い付けだけでなく解約も停止される事態に見舞われました。
楽天証券ではロシア関連の投資信託のほか、部分的にロシア株式を組み入れた新興国株式関連投資信託も取り扱っており、運用会社の判断により、順次買い付けや解約の申込受付を停止しています。(2022年3月3日現在)
投資信託を運用する運用会社がこうした対応を取らざるを得なくなった背景には、ロシア関連資産の急激な流動性の低下があります。金融市場における流動性とは、「交換のしやすさ」(日本銀行ホームページより)のことです。「買いたい時に買えて、売りたい時に売れるかどうか」を表したもので、市場に出回る量が多く、買いやすい(売りやすい)状態のことを「流動性が高い」と表現します。反対に、市場に出回る量が少なく、買いにくい(売りにくい)状態のことは「流動性が低い」と表現します。
今回のウクライナ侵攻を巡っては、世界各国がロシアに対する経済制裁を相次いで打ち出しているので、ロシア市場へのアクセスが事実上遮断されていることは皆さんもご理解いただけると思います。また、ロシアの金融市場の規模が、日本や欧米などの先進諸国と比べて小さく、そもそも流動性に制約があるということもおおよそイメージできると思います。
とはいえ、基準価額が下がり続けている中で、解約も含めた全取引が停止されるというのは、いささか厳しい措置のようにも思えます。なぜ、運用会社はここまで厳しい対応を取る必要があるのでしょうか。