今週の米国株市場、終値は3万1,082ドル

 また、日本株が取引を終えた後の21日(金)の米国株市場では大きく株価が上昇しており、市場のムードが変化していますので、この点についても確認していきます。

図2 米NYダウ(日足)とMACDの動き (2022年10月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末21日(金)の米NYダウ(ダウ工業株30種平均)の終値は3万1,082ドルとなりました。

 上の図2を見ても、週末21日(金)の大きなローソク足の陽線が目立っているほか、この日の上昇によって、3万1,000ドル台超えや50日移動平均線あたりまで株価を戻していることが分かります。

 また、チャートの形をざっくり捉えると、9月30日と10月13日の安値でいわゆる「ダブル・ボトム(二番底)」を形成しているようにも見えます。2回にわたる安値によって相場が底を打つという場面は、今年の6月から7月にかけてもみられました。

 当時の様子を上の図2で確認すると、6月17日の安値を境にいったん株価が反発したNYダウは、25日移動平均線で跳ね返され、7月14日の安値を再度つけに行きます。その後、再び株価が反発し、25日移動平均線を超え、そして50日移動平均線を上抜けしたあたりから上昇が加速し、8月16日の高値へとつながっていきました。

 今回も9月30日を境に上昇した後、25日移動平均線あたりで再び下落し、先週の値動きによって、25日移動平均線超えを達成し、50日移動平均線のトライという状況となっています。さらに、下段のMACDについても、いわゆる「0ドル」ライン超えが意識されているようにも見えるため、チャートの形状は上向きを強めていると考えることができます。

 見込み通りに株価が上昇した場合には、3万2,000ドルや、先ほどの6月と7月の安値同士を結んだライン、200日移動平均線などが上値の目安となりそうです。とりわけ、今回は200日移動平均線への意識が強まる可能性があります。ちなみに21日(金)取引終了時点の値は約3万2,750ドルです。

 その根拠としては、200日移動平均線が「1年間の値動きの中心線」であることと、200日移動平均線が上向きと下向きのトレンドの勢いがぶつかり合いそうな水準に位置していることが挙げられます。

図3 米NYダウ(日足)とRSIの「逆行現象」(2022年10月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3はNYダウとRSI(相対力指数:買われすぎか、売られすぎかを判断する指標)の「逆行現象」についてまとめたものです。

 株価とRSIが反対の方向を示している状況を「逆行現象」と呼んでいるのですが、この逆行現象は、見方によって、「トレンド転換型」と「トレンド継続型」の2種類が存在しています。

 一つ一つ説明すると長くなってしまうため、細かい解説は省きますが、足元では、短期的なトレンド転換型の逆行現象が出現し、実際に株価が反発基調をたどりつつある状況となっています。一方、中長期的な視点では1月から4月、そして8月と株価の上値が切り下がっているところに注目したトレンド継続型の逆行現象が最近まで意識されていました。

 このまま株価が上昇していくと、それに伴ってRSIの値も上昇していくことになりそうですが、仮に、RSIが8月の高値をつけたときの株価が8月の高値を下回っていた場合には、下向きのトレンド継続型の逆行現象が確認できることになり、株価の上昇と下落の勢いがぶつかり合うことになります。

 そのぶつかる株価水準が200日移動平均線の位置している3万2,000ドル台である可能性はかなり高いと考えられます。

 となると、目先で焦点となるのは、「今週の米国株が上昇基調を続けることができるか?」になりますが、そのカギを握っているのは、決算動向です。

 今週の米国では、アップルやマイクロソフト、グーグル(アルファベット)、アマゾンといった米主力IT企業の決算が発表されますが、これらの銘柄は組み込まれている株価指数(S&P500種指数やナスダック総合指数)において、時価総額で20~30%を占めているため、相場全体に与える影響度は大きいといえます。