円安が終わるための条件

 ドル/円が動く要因を説明してきましたが、その中に「円安が終わるための条件」の答えはあります。以下二つです。

【1】日米金利差が拡大し続ける思惑が消えること
【2】実際に日米金利差の拡大が止まり、縮小し始めること

 先に実現するとしたら、【1】思惑の変化です。今は、あらゆる材料が、日米金利差が開き続ける思惑を生んでいます。そのうち一部でも変化すれば、日米金利差の拡大が続く思惑は低下するかもしれません。

(1)パウエル議長のタカ派姿勢が緩和すること。ほんのわずかでも、先行き金融引き締めを緩めるニュアンスの発言をすると、市場のパウエル像は変わる可能性があります。
(2)黒田総裁のハト派姿勢に変化が出ること。ほんのわずかでも、日本の長期金利上昇を容認する姿勢を見せると、市場のイメージは変わる可能性があります。ただ、私は、黒田総裁がそのように変化する可能性は、ほとんど無いと予想しています。
(3)米国のインフレ率が大きく低下すること
(4)米国の株価が一段と下落すること
(5)米国の景気が目に見えて悪化してくること

 上記にあげるいずれかが起こると、日米金利差が開き続ける思惑は消える可能性があります。そうなると、円安は止まり、円高に転じる可能性が生じます。

 今のところ、上記のいずれも起こっていません。したがって、現時点ではまだ円安(ドル高)がいつ終わるか見通せません。

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