日米2年金利差が長期で見てもドル/円変動の最重要ファクター

 長期で見ても、ドル/円為替の動きを最も良く説明するのは、2年金利差です。

ドル/円為替レートと、日米2年債利回りの差:2008年1月~2022年9月(13日)

出所:QUICKより作成

 2008年以降の動きを見ると、おおむね日米2年金利差の変化に、ドル/円は連動していることがわかります。ただし、よく見ると、金利差の拡大縮小と、ドル/円の動きがあっていないところもあります。金利差の実際の動きで説明できないところは、ほとんど、金利差の先行きに対する思惑の変化で説明できます。

【1】2008~2012年

 日米金利差の縮小にしたがって、円高(ドル安)が進みました。

【2】2013~2014年

 日米金利差が少ししか拡大していないのに、大幅な円安(ドル高)が進みました。2年金利の差では説明できない程の円安となりました。日銀が異次元緩和を実施する中、FRBが金融引き締めに動いていたことが、急な円安を招きました。今と似た環境です。今も、FRBが引き締めを急いでいる時に、日銀は頑として緩和維持を表明しています。

【3】2015~2018年

 日米金利差が拡大する中で、円高が進みました。2013~2014年の行き過ぎた円安に修正が起こったと見ることができます。2016年に、米大統領選キャンペーンで共和党候補だったドナルド・トランプ氏(前大統領)と民主党候補だったヒラリー・クリントン氏が、ともに円安を批判したことも円高材料となりました。

 トランプ前大統領が当選した後も、日本の対米黒字を問題視し続けたため、潜在的な円高圧力が続きました。

【4】2019~2020年

 日米金利差が縮小するにしたがって、円高が進みました。

【5】2021~2022年

 日米金利差が拡大するにしたがって、円安が進んでいます。