FOMC、雇用統計、中間選挙など米国イベントを要チェック

(図5)米S&P500(日足)とMACDの動き (2022年10月28日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 そして、NYダウとナスダックの中間に位置しているのが、S&P500種指数です。

 先週末時点の株価は3,800p水準を挟んだ攻防から3,900p台乗せまで回復してきていますが、上の図5を見ても分かるように、ナスダックがまだ実現していない、50日移動平均線とMACDの「0p」ラインの回復は達成しているものの、NYダウが達成した200日移動平均線の回復にはまだ距離があります。

 また、S&P500は1月・3月・8月の戻り高値を1本のラインで結び、大きな下値ラインが描けるなど、中長期的な下落トレンドが確認しやすいチャートの形状となっています。

 では、中長期的なトレンドを、米国主要株価指数の中でも強いNYダウで確認すると、どのような状況にあるのでしょうか?

(図6)米NYダウ(日足)とRSIの「逆行現象」 (2022年10月28日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図6は、NYダウの日足チャートと下段にRSI(相対力指数)を表示させたものです。こちらの図は前回のレポートでも紹介し、「逆行現象」でトレンドの様子を探って、「200日移動平均線あたりまでの上昇もあり得る」根拠として用いました。

 下段のRSIに注目すると、先週の株価上昇に伴って、RSIの値も上昇していき、週末28日(金)の値は86%となりました。

 NYダウが8月16日につけた高値の時のRSIの値は84%、その前の3月高値の時は79%、さらに、年初の1月高値の時は66%だったため、株価の上値が切り下がっている一方で、RSIの値は上昇していることになり、先週末時点では、中長期的な下向き「トレンド継続型」の逆行現象が機能しています。

 その一方、足元では短期の「トレンド転換型」の逆行現象の出現で株価が反発し、中長期のトレンド継続型の逆行現象にあらがおうとしているように見えます。

 中長期のトレンド継続型の逆行現象を打ち消すには、「このままの勢いで株価が上昇し、8月の高値(3万4,281ドル)を超える」、もしくは、「株価がしばらくもみ合いを続けていく中でRSIをいったん低下させてから、株価の高値更新を目指す」のどちらかになりますが、現時点での可能性は後者の方が高いと思われます。

 先ほども述べたように、今週はFOMCや雇用統計が最大の注目イベントとなりますが、その先には、8日(火)に投開票が行われる米中間選挙や、来週末15日(火)~16日(水)にインドネシアで開催されるG20首脳会合といった政治イベントが控えています。

 とりわけ、G20首脳会合については、ロシアが参加するのか、共産党大会を終えた中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とバイデン米大統領の首脳会談が行われるのか、さらにロシアが参加した場合、習氏とプーチン露大統領が面談を行うのかなど注目点も多く、開催前にさまざまな報道が出てくることが想定されます。

 政治的な材料は、リスクとして事前に織り込みにくく、また思惑や臆測も呼び起こしやすいため、不確実性を抱えている面があります。

 確かに、足元の相場の地合い自体は決して悪くはなく、株価が上昇していく展開も十分に見込めるのですが、その半面、株価上昇の持続性についてはまだ不安定であることを念頭に置く必要があり、今週はやや慎重に相場に臨むのが良いかもしれません。